【column】石川県のパワースポット 加佐の岬

石川県加賀市の加佐ノ岬から福井県敦賀市に至る約100kmの海岸線は「越前加賀海岸国定公園」に指定されています。

加佐の岬は最近ではパワースポットとしても知られているそうで、何でも神奈川県の真鶴岬とこの加佐の岬を直線で結ぶと、その線上に富士山、御岳山、白山が並び、日本列島を東西に分けるライン上にある岬なのだそうです。
そのせいかどうか、平日でも訪れる観光客が多いです。

実は、そのことを私が知ったのは最近のこと。
荒波打ち寄せる日本海に突き出た岬の突端に立つと足がすくみますが、そこで周期的に打ち寄せる怒涛をしばらく眺めていると、不思議とリラックスしてきて内から力がみなぎってくるような気がします。
忙しさがひと段落したときとか、よく出かけています。
私にとってここは間違いなくパワースポットですね。

でも、岬の先端は断崖になっていて、チェーンの柵があるだけです。アップダウンも多く、もし足を滑らせたらと想像したら背筋がぞくっとします。行くたびに「怖っ!」って思いつつも、ついまた行ってしまう、ここにはそんな魅力があるようで、一度訪ねたことがある人の多くはとりこになって、私みたいに何度もリピートするみたいです。

ここから見る日本海に沈む夕日も美しいです。

加佐ノ岬周辺にはノハナショウブの群生地があり、6月中旬から下旬が花の見ごろ。
先日、行ってみたときは終わりかけだったのか、咲いている花が少なく、ちょっと寂しかったです。

ノハナショウブは、各地の菖蒲園などで見ごろを迎えているハナショウブの原種で、通常は湿地や湿った草地などに生えることが多いのに、ここでは海沿いの断崖絶壁の上というとても珍しいロケーションに自生しています。
ここの地層は凝灰質砂岩の上に砂が堆積しており、その境を雨水などが流れるために湿気が多いノハナショウブが好む環境を作っているからだそうです。
古くから人々に愛されてきたノハナショウブですが、近年急激にその数を減らし、石川県では準絶滅危惧種に指定されるまでになってしまいました。

艶やかさや華やかさでは園芸種のハナショウブに敵いませんが、野生種ならではの力強さと清楚さを兼ねそなえたノハナショウブ。潮風に吹かれ、日本海の青い海をバックに咲く可憐な赤紫の花には心奪われます。いつまでもこの風景が見られるように、見守っていきたいです。


【ライターの仕事】 旅の手帖6月号

5月10日発売の『旅の手帖6月号』から、いよいよ本格的なライターの仕事が始まりました。

第一特集の「明治を旅する」で福井、第二特集「地図を歩く」では金沢と、それぞれの取材・文・撮影をしました。

近代日本を築いた志士たちゆかりの場所を訪ねました(2P)。

金沢の観光ボランティアガイド「まいどさん」と東山界隈で古地図めぐりを(3P+1P)。

私の記事ももちろんですが、今号の『旅の手帖』は、歴史好きにはたまらないラインナップです。

詳しくは下記の公式サイトをご覧ください
旅の手帖 2018年6月号――交通新聞社

『旅の手帖』に本格的な取材原稿が載るのは、四半世紀ぶりかな。
一番思い出深い雑誌から、再スタートできてうれしい限り。

こうやって、全国誌にすこしずつでも北陸の紹介が載れば嬉しい限り。今回みたいにカメラマンとライターを一人でこなすのはなかなか大変ですけど、自分にできることは何でもやりたいので、これからも精いっぱいがんばります。

北陸地方の取材でお困りでしたら、ぜひお気軽にお声がけください。
ライターだけ、カメラマンだけの仕事も歓迎です。


【column】江戸から明治、北前船で栄華を極めた三国湊

日本の近代化に大いに貢献した北前船

明治の中頃まで日本の大動脈として活躍した北前船。その寄港地は大いに繁栄し、各地に巨万の富をもたらしました。北前船は単に物資を運んだだけでなく、船主自らが商人となり、積み荷の売買を行う「買積船」でした。ひと航海で倍の利益が出ることから、「バイセン」とも呼ばれたそうです。
上方や瀬戸内、北陸からは衣料や米、味噌、醤油、油、建材などが、一方、蝦夷地(北海道)からは肥料(鰊や干鰯など)や食料(身欠き鰊、干鱈、昆布など)などが運ばれてきました。北前船がもたらした莫大な富は、港の整備や潟の干拓、さらには地域の教育環境の整備など、社会基盤作りにも使われ、そして商才を磨いた船主たちは明治以降、その財を銀行、保険、運輸など、さまざまな分野に投資し、日本経済の発展に寄与していきます。

レトロな空間は散策が楽しい

明治時代、繁栄を極めた三国湊

前置きが長くなりましたが、そんな北前船寄港地の中でも、往時の面影を今も色濃く残す福井県坂井市三国湊を旅してきました。白山山系より流れ出る九頭竜川の河口にあり、北前船や内陸部との水運の一大集積地であった三国町は、江戸中期から明治中頃にかけて繁栄を極めました。
町の中心部には格子窓の古い町並みが見事に残っており、足を踏み入れればタイムスリップしたような錯覚に陥ります。三國湊座や旧森田銀行本店、旧岸名家、出村遊郭街など、古い佇まいを残す家々からは、往時の賑わいぶりがありありと想像できます。

三国の古い町並みの中にある「三国湊座」では、名物の三國バーガーが食べられる
三国湊の豪商が創業した旧森田銀行の大正9年にできた新本店
材木商で三国湊を代表する豪商の家「旧岸名家」は内部の見学もできる

ところで、ここ三国の名物には昔ながらの製法で作られる「酒まんじゅう」があります。町内にはいくつかの製造元がありますが、この製法を伝えたのも北前船とする説があります。北前船は物資だけでなく、さまざまな文化も全国から運んできました。

酒まんじゅう。店によって焼印が異なる

三国の食といえば、冬の「越前がに」がつとに有名。沖合近くに最高の漁場があることから、同じ「越前がに」でも三国港産は極上との呼び声が高いです。そしてもう一つ、隠れた名物として挙げられるのが「おろしそば」。県内各地で食べられるおろしそばとは少し違っていて、そばの上に大根おろしがのっておらず、しかも一口食べるとその辛さに驚かされます。このあたりのおろしそばは、大根おろしをのせるのではなく、辛味大根の絞り汁とダシを合わせたツユをかけて食べるのが習わし。ひたすら辛くも、県内産の風味の強いそば粉で打ったコシの強いそばは辛いツユに負けておらず、パンチが強くおいしいそばです。

大根おろしがのっていない激辛のおろしそば

北前船の財力が町の基盤づくりに

さらに、三国港を見渡す丘の上に建つ「みくに龍翔館」へと向かいます。この建物は、三国湊が最も栄えた明治12年(1879)にオランダ人技術者、エッセルによってデザインされた小学校を模して復元したもの。館内には北前船に関する資料も多く展示され、展望ベランダに立つと白山から日本海までの360度の眺望が楽しめます。

高台に建つみくに龍翔館

日暮れが近づくころ、九頭竜川の河口にあるサンセットビーチへ。沖合まで延々と竜のように伸びる突堤は、エッセルが設計し、同じくオランダ人技師のデ・レーケが工事を指揮し、明治15年(1882)に完成した日本初の西洋式捨石防波堤。築後100年以上経った今も現役で国指定重要文化財です。地元商人も工事費を一部負担し、官民一体となって行った事業でした。

国指定重要文化財の「エッセル提」

北前船の影響をそこかしこで見ることができる三国町。福井県を代表する景勝地・東尋坊もすぐ近くにあります。ぜひ、あわせて訪ねてみてはいかがでしょうか。

参考:北陸の歴史 ニッポンを運んだ北前船――「北陸物語」(北陸経済連合会)
三国湊レトロ――福井県坂井市観光ガイド

取材・写真/若井憲(北陸ライター)


【column】金沢 男と女のお花見事情

今年の桜前線は猛スピードで走り抜けて行っちゃいましたね。

金沢のお花見スポットを丹念に撮影しようと思っていたのに。ちゃんと撮影できたのは、犀川と浅野川だけでした。
犀川は別名「男川」、浅野川は「女川」とも呼ばれていますね。

さて、桜の季節になると、桜をテーマにした曲が聞きたくなる人も多いでしょう。ラジオやテレビでもそんな特集を必ずしていますよね。
いろいろ思い浮かびますが、福山雅治の「桜坂」は定番中の定番ではないでしょうか。
曲のモデルとなった坂は、東京都大田区にあるそうですが、
金沢にも桜坂があるのをご存知でしょうか?

桜坂から眺める犀川の桜

犀川にかかる桜橋の左岸にその坂があり、江戸時代、坂の上にたくさんの桜が植えられていたことがその名前の由来だそうです。
坂の途中からは、犀川河畔の桜並木を上から見下ろすことができ、なかなかの絶景でした。

観光客でにぎわう浅野川とは対照的に、犀川の方は近所の人たちが桜を眺めながらジョギングや散歩するなど、市民の憩いの場という色合いが濃い気がします。

犀川

桜坂から少し上流に向かった犀川緑地公園は、土手沿いに見事な桜並木があって、見ごたえがあります。

犀川緑地公園の桜並木

一方の浅野川。

ちょっとマイナーですし古いですが、見知らぬまちの桜吹雪を歌ったユーミンの「花紀行」って曲、ご存知でしょうか? これ、実は浅野川の桜吹雪がモチーフなんですよ。

浅野川の桜と梅ノ橋

ちょっとアンニュイな感じで、大好きな曲。それが浅野川だと知ったのはつい最近のこと。歌詞の「見知らぬまち」が金沢だったとはびっくりです。

主計町茶屋街

まあ、確かに新幹線が開業する前の、今ほど観光客がいなかった頃の金沢には、「見知らぬまち」ってイメージがありましたね。個人的には、あんまりあか抜けないで、「見知らぬまち」のイメージも大切にしてほしいと思います。

両方の桜を見くらべると、男川(犀川)の方が豪快で、女川(浅野川)の方が繊細な気もしますが、名前の先入観かな。でも、どっちの美しかった。

浅野川大橋

あっという間に咲いてあっという間に葉桜となってしまいましたが、もうちょっと楽しませて欲しかったですね。

2018年4月8日/(写真と文)若井 憲○フリーライター


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