【シリーズ日本海】 秋田県と石川県の意外な共通点

先日、お伝えした通り、日本海研究のレポートをしていこうと思います。

日本海側の文化を調べていたら、秋田県と私が住む石川県(一部は富山県)との意外な共通点をいくつか発見しました。

その1

秋田県は男鹿半島のなまはげといえば怖い顔した鬼が家々を回って、怠け者やいうことを聞かない子供を脅すというもの。これと同じ行事が能登半島に現存しています。「あまめはぎ」といいまして、「あまめ」とは「なまけタコ」のことで、体にできたそんなタコを剥ぎ取りに来るといいますから、想像しただけでも痛いです。昨年、どちらもユネスコの無形文化遺産「来訪神 仮面・仮装の神々」に登録されたことで話題になりましたね。

なお、同じく無形文化遺産に登録された山形県遊佐町のアマハゲをはじめ、新潟県のあまめはぎ、福井県のあっぽっしゃなど、酷似する行事が日本海側に多数見られます。このあたりも掘り下げたら面白いともいますが、その多くは過疎化により、実施が危惧されているような悲しい状況でもあります。

ちなみに、風物詩でもあるこれらの行事の様子は毎年、テレビでも紹介されますよね。日本海側が好きと言いつつも、このような行事がある地区で生まれなかったことを毎年安堵しながら眺めています。子供にとっちゃ、これは恐怖でしかないですもの。

その2

大豆から作られる醤油が広まる前、魚から作った魚醤油と言われるものが一般的でした。多くは廃れてしまいましたが、今も残る数少ない魚醤油が秋田県の「しょっつる」と石川県の「いしる」(「いしり」とも言う)です。秋田県の「しょっつる」は本来ハタハタが原料(「いしる」はイカやイワシ)でしたが、乱獲で数が激減して一時は全面禁漁となり、こうなごやアジ、イワシなどが代用されるようになったようです(現在は漁獲量が復活し、再びハタハタも使われている)。ちなみに石川県でもハタハタはたくさん水揚げされていますが、「いしる」の原料になるとは聞いたことがありません。

ちなみに、日本の魚醤にはほかに香川県の「いかなご醤油」が有名で、海外ではナンプラーやニョクマムが知られています。

その3

醤油ソフトクリームが名物。そもそも、ソフトクリームに醤油を入れるなんてセンス、正直ちょっと変だと思いませんか? そんな変わったものを名物にして売り出しているのが秋田県角館町と石川県金沢市(大野地区)なんです。今では全国各地にソフトクリームに醤油を混ぜたり、かけたりするソフトクリームはたくさんありますが、なかでも歴史があるのがこの2地区ではないか? 自分の調べたところではそんな風に思っています。気になるお味ですが、思いのほか美味しいと私は思います。キャラメル風の風味ですが、好き嫌いは分かれます。いずれにしても、こんな発想とそれを商品化して売り出す勇気、さらにそれを受け入れる味覚は、なんか見えない糸でつながっているとかしか思えません。

ちなみに、他にも「ここだけ」とか「元祖」を名乗るしょうゆソフトクリームはあり、上記はあくまでも自分の願望も含めた仮説に他ならないことも書き添えます。

その4

雪国の寒風にさらして乾燥させた保存用の餅作りが、冬の石川県や富山県では風物詩になっています。ひもで切り餅を暖簾のように連ねて縛ったものを軒先や屋内に吊るすものです。石川や富山では「かきもち」って言いますが、秋田県にも同じものがあり、「ほしもち」といいます。餅を寒風にさらして保存食にするものはよその県にもありますが、形状や製法が秋田県と石川・富山県のものとは酷似しています(山形県や青森県の一部にも同様なものがあります)。

その5

秋田県の名物としてかなり上位にランクされるのが稲庭うどんではないでしょうか? そうめんを作るように手延べで作られるうどんで、足で踏まない上品なうどんであることから献上品として昔から高級うどんとして知られていたそうです。普通のうどんとはまったく違うつるつるしこしこの食感とのど越しは、足踏みは別にしても高貴な味わいですね。

こんなうどんは他所にないと思っていたら、能登半島の付け根の富山県氷見市には「氷見のうどん」という、稲庭うどんと同じ製法のうどんがありました。厳密に食べ比べたわけではありませんが、稲庭うどんに勝るとも劣らない、そんな美味しいうどんです。

ちなみに、この氷見うどんのルーツが輪島素麺(昭和に入り途絶えたが最近復興)で、その輪島素麺は、奈良の三輪素麺がルーツとするほか、長崎の五島列島から伝わったという説もあります。五島列島には、稲庭うどんと讃岐うどんとともに日本三大うどんのひとつに数えられる五島うどんがあり、このうどんも実は稲庭うどんと同じく手延べうどんなのです。いずれも日本海を流れる対馬海流の流域であることは興味深いですね。

秋田県と石川県。北前船を出すまでもなく、同じ日本海側であり海路のつながりがあったことはもちろん、大陸との交流や地理的なこと(どっちも日本海に大きく突き出した半島がある)など、色々のことが考えられます。

まあ、こじ付けといえばそれまでかもしれませんが、新潟や山形、青森とはこのような類似はなさそうだし、何か不思議な縁を感じてしまいます。

ちなみに、秋田県といえば、これも以前お伝えしました通り、自分が人生で最初にひとり旅で訪れた場所で、異論もありますが、秋田県も石川県も美人が多いという共通項も書き添えておきますね。

写真と文若井 憲 Ken Wakai
フリーで編集・ライター・カメラマンを兼務。得意ジャンルは旅行と文化。金沢市在住で北陸地方なら、得意ジャンル以外も実績は多岐にわたる。撮影ができるのも強み
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あけましておめでとうございます

雪の兼六園(イメージ)

今年も豆本工房わかいをよろしくお願いします。

フリーランスの編集者・ライターとなって2年目となる今年、自分のとっては勝負の年となります。もっと自分の色を明確に出さないといけないと考えていて、前々から考えていた「日本海研究」を積極的にしていこうと思っています。

もともと太平洋側で生まれ育った私にとって、日本海側はあこがれの地でもありました。子供の頃、夏休みに新潟県村上市で1週間ほど滞在したことがあり、生まれて初めて日本海で泳いだ時の感動は今も忘れられません。

そして、中学2年生の時、人生で最初のひとり旅に出かけたのが秋田県でした。親戚がいるわけでもないのに、そこまで秋田県に惹かれたのかは、今となってははっきり覚えていませんが、秋田駅から乗ったローカル線で向かいの席に座った女性2人がめっちゃ美人だったことだけは今も鮮明に覚えています(笑)。

20年前、金沢に移住することを決めたのは、取材で訪れた能登半島の美しい海と出会った人々のぬくもりに、「こんな場所に住みたい」という思いが根底にありました(諸般の事情で、能登暮らしは実現できていませんが)。

そういえば、若井の祖先は新潟県出身だというし、日本海側にあこがれ、そこに居ると不思議と安堵するのは、血なのかもしれません。

冬の日本海 能登半島曽々木海岸

日本海側には太平洋側とは少し違う独特な文化があり、自分にはそのことに興味津々だったりします。

そんな視点から日本海側をひもとき、掘り下げていく、自分なりの「日本海研究」を重ねていきたい。もちろん、学者ではありませんから、日本海側の魅力を全国へ、そして世界へと発信するための情報収集が主です。

幸い、太平洋側で生まれ育ったという「外からの目線」を持っていることや、旅行雑誌などに長年関わり、培われた広い視野もありますので、人とは違う視点から日本海を語れるようになることを目標とします。

そして、名実ともに「日本海ライター」と名乗れるように、日々研鑽してまいります。そのためにも今年は日本海沿岸を放浪したいと思っていますが、それはまあ、無理ですかね(笑)。

研究成果はここでも随時発表してまいります。 本年も温かいご支援のほどよろしくお願いします。

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