ライター仕事で、インタビュー記事を生成AIにつくらせてみた

前回、「インタビュー取材前の準備をAIにさせてみた」を書きました(前回の記事はこちら)。

今回は取材後の執筆や入稿前の校正にAIを使ってみた感想を書きます。

前回も書きましたが、私自身は生成AIに関してはまだまだ素人ですので、あくまでも「初心者が使ってみた感想」ということで捉えていただければと思います。「興味があるけど、まだ仕事では使っていない」という方には多少は参考になるかもしれません。

さて、取材が終わると、今までは録音した音声をチェックして、ポイントとなる部分を書き出したり、場合によっては文字起こしをしたりしていました。実は文字入力が苦手な私にとっては、これは気の重たい作業・・・。

そして、入力したものをもとにして、全体の流れを考えて、まずは粗々とした原稿(多い時は仕上がりの3倍以上のボリューム)を書いて、1日以上寝かせて(熟成と呼んでいます)、指定の文字数になるよう調整をして行きます。この文字起こしから原稿書きまでを生成AIにやらせてみました(情報漏洩などのリスクを考慮して、信頼性の高い有料のアプリを使用しています)。

その結果は、文字起こしの精度はイマイチ。でも、インタビュー内容を要約させたものや時系列にポイントを抜き出させたものは秀逸です。さらに原稿案は、かなりの完成度なので、正直驚きました。ただ、発言の誤解釈や飛躍している部分もかなりあって、これがそのまま使えるかというとそうではありません。自分が実際にインタビューしているから誤解釈や飛躍については発見できますが、じゃないと、文章がそれっぽくきれいにまとまっているので気が付かないかも。怖い・・・。そもそも文章がきれい過ぎるものも、逆に違和感というか、面白みに欠ける気がします。

それでも話の組み立て方やコメントの使い方など、参考になる部分も多く、これを参考にしつつ、改めて書き直していますが、とにかく、気の重たい文字入力の作業が減ったことは大きいです。

それからもう一つ、入稿する前の原稿を生成AIにチェックさせてみました。誤字脱字や文章の読みやすさのチェックはもちろん、指示すれば、情報の裏どりまでしてくれます。複数のサイトを比較して、事実と異なる可能性がある情報については指摘してくれるので、これは使えそう。

ただし、その一方で、相変わらずAIはしなっと嘘をつくので、要注意。この辺りは少しずつ精度も上がってきているので、今後に期待かな。

生成AIの登場で、ライターの仕事はAIに取って代わられるという危機感が現実になってきたことは、使ってみると揺るぎない事実だと痛感できます。取って代わられないためには、まずは生成AIに頼りすぎることなく、自分自身で考えることを止めないことが肝心かなと思っています。AIが苦手なところは人間力を発揮する、そんな共存姿勢で取り組めば、ライターとしてしばらくは生き残れるのではないでしょうか。もちろん、よほどの専門知識を持っている人や独自の世界観を持っている人は別です。

ちなみに、AIが苦手なところとは、WEBに出ていない情報を集めることでしょう。例えば、取材やリアルな口コミで得た情報はWEBには出ていないことも多く、人間力が試される部分でもあると言えます。

AIにより良い仕事をしてもらうためには、AIに指示を飛ばすプロンプトの良し悪しも重要でしょう。そのためには編集者視点を持っている方がよく、今まで以上に広い視野で仕事をしていくことも大事ではないか、そんなことを感じています。

早晩、「ライター」という仕事は絶滅危惧となってしまうかもしれませんが、AIを駆使して文字を操る、そんな仕事をする人が生き残っていくのかなと考えています。

にゃんともライター業界は激変しそう。自分としては細々とでも生き残っていく術を急いで探さにゃいと。

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インタビュー取材の準備にAIを使ってみた

遅ればせながら、私もAIを少しずつ活用するようになって、ここ半年はライター仕事の流れが大きく変わりつつあります。

今はまだ、試験的な導入であり、手探りの最中という状況ではありますが、それでも、AIなしの状況には戻りたくなくなりつつあります。

私の場合、メディアから仕事を受注して現地に取材に赴くのが基本スタイル。渡された企画書をもとに、具体的な取材先の候補を提出することを求められることが多く、まずはその「候補のリストアップ」と、取材先が決まった時点で始める「取材のアポ取り」と、質問項目を書き出した「ヒアリングシートの作成」という3つの作業が取材前の大きな仕事。これが終わると、取材が半分終わった気分になります。

さて、この「候補のリストアップ」と「ヒアリングシートの作成」は、どちらも下調べや情報収集にかなりの時間を要します。最近はこれを生成AIにも手伝わせています。

生成AIがつくったヒアリングシートは、一見全く問題のないと思われるものですが、たとえばこれをもとに質問をしていくと、現実的には答えにくい質問も混じっていたりして、まだまだ精査が必要なレベルですが、それでも、「そうだな、そういう質問もした方が面白いかもな」みたいな気づきをくれたりします。

もちろん、生成AIに指示をするプロンプトのつくり方に私が長けていないこともあり、能力を引き出せばもっといいものをつくってくれるのかもしれません。それでも、「取材候補のリストアップ」と「ヒアリングシートの作成」をゼロからつくることを考えると、かなりの効率化ができていることを実感しています。

ただし、情報漏洩に関しても注意を払わないといけないので、とりあえず、プロンプトには個人情報はもちろん、メディアの詳しい情報なども入れないようにしています。また、回答の情報源も明らかにさせることで、ネタ元の信憑性も判断するようにしています。

一方で、AIに頼るようになって、「これでいいのだろうか?」と思うことが最近よくあります。情報を集めたり、調べたりすることの効率が劇的にアップする反面で、いままで雑音のように混じってきた「当たらずとも遠からず」な情報が入ってこなくなることです。実はこういった情報が結構役に立つこともあるんです。

それから、生成AIが記事の道筋まで組み立ててくれることで、自分で考える力が養われなくなるのではないか、そんな危惧も感じています。なので私はあんまり頼り過ぎず、優秀なアシスタントがついてくれた程度に考え、かける時間を削減する効率化より、取材準備の密度を上げる方に活用することを優先したいと考えています。

実は「考える力」に関しては、取材が終わった後の執筆の方が影響は大きいかもしれません。このことは後日改めて掘り下げたいと思います。

AIの登場で、ライターを取り巻く環境は劇的に変化しています。
「そんなのわかんニャイ!」ってそっぽ向いていたら時代から取り残されちゃいますからね。私のような、おっちゃんフォトライターも必死にしがみついています、今のところは、笑

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【フォトライターの仕事】『旅の手帖』2025年9月号で五箇山を特集

早いもので、五箇山と白川郷が世界文化遺産に登録されて、今年で30周年!

月刊『旅の手帖』9月号では第2特集で五箇山の特集を組んでいます。五箇山だけで特集を組むのって珍しいのではないでしょうか? しかも16ページものボリュームをほぼ五箇山だけで構成するのもなかなかないことです。

早朝の相倉合掌造り集落。「熊に遭いませんように」と祈りながら撮った1枚

この特集のうち、11ページ+αの取材・撮影・執筆を担当しました。10ページ以上の担当は久しぶりで、なかなかハードでしたが、五箇山の皆さんがたくさん無理を聞いてくださったおかげで、なんとか〆切を守ることができました。ありがとうございます!

日本最大級の合掌造り・岩瀬家。昔はもっと大きかったというから驚く

さて、特集タイトルは「世界遺産になった日本の原風景 合掌造りの村 五箇山【富山県】」と、王道的な感じになっていますが、五箇山大好きな私が担当するならと、中味は、今までの五箇山のイメージを覆す、多少すっ飛んでいるものになったと思います。
そして、読むほどにいろいろ発見もある、五箇山や合掌造り、田舎暮らしに興味がある方は必読の内容になっていると自負しています。

菅沼合掌造り集落では運良く茅葺の葺き替えに遭遇しました

ちなみに、この号の有名人インタビューは、高志の国 文学館館長の室井滋氏。室井さんの富山愛とともに、人柄が伝わってくる面白い内容。ますますファンになりました。

あとは、室井さんが五箇山特集を見て、「なんじゃこれは!」って思っていないことをただ祈るのみ(笑)。

『旅の手帖』9月号は全国の書店で発売中です!

*写真は取材時に撮影したボツカットで構成しました。トップの蛍の写真は比較明合成です。合掌造り集落の蛍は集落内に宿泊しないと撮影できないレアなものです。

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【フォトライター&カメラマンの仕事】最近公開された成果を3つ紹介します!

ずは、金沢市観光協会の『金沢旅物語』 

金沢には伝統の技を小さな世界にギュッと閉じ込めた、唯一無二のアクセサリーを手がける
工芸作家さんがたくさんいらっしゃいます。
そんな魅力を金沢市観光公式サイト「金沢旅物語」で特集記事にしました。
撮影、ライティングとも担当。

https://kanazawa-kankoukyoukai.or.jp/article/detail_620.html

(トップの写真は加賀象嵌作家・前田真知子氏の作品)

次は、北陸の農を応援するメディア『農援ラボ

石川県小松市の中山間地で、
ナスもピーマンも金時草も生で食べられる、
驚きの農法を実践している西田農園を取材しました。
撮影、ライティングとも担当。

https://nouenlabo.com/posts/20250806

最後は、漁業の未来を考えるフリーマガジン『フィッシャリージャーナル』 

7/25(金)発行の最新号で、新湊漁協のシロエビ漁師の画期的な働き方を紹介する記事の撮影(カメラマン)を担当しました。

https://fisheryjournal.jp/79704/

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【フォトライターの仕事】ジパング倶楽部WEBで越美北線を紹介

JR6社のシニア向け旅行会員組織「ジパング倶楽部WEB」の鉄道秘境旅特集で、福井県の越美北線を取材・撮影・執筆しました。

メインカットは特集全体のイメージカットにも使用されました。「越美北線ってこんなすごいところを走っているんだ!」と思っていただける自信作ですが、権利の関係でここではお見せできず、ぜひリンク先でご覧ください。

https://www.toretabi.jp/zipangclub/page/plan_shun2507_nishi.html

鉄道だけでなく、一乗谷や大野の観光やグルメ情報もしっかり紹介しています。

私が大好きな道の駅九頭竜で販売している舞茸弁当も!

この夏、越美北線に乗って出かけてみませんか?

元は編集者でライターをメインに活動してきましたが、カメラマンも兼ねるようになってから、確実に受注機会が増えているような気がします。さらに嬉しいことに、カメラマンだけの依頼も急に増えてきました。

ここ最近は売上ベースで、フォトライターが5、カメラマンが3、ライターが2くらいかな。ライターだけの仕事をカメラマンが上回っています。

実はカメラマンになることがずっと前からの密かな夢だったので、この歳になって夢が叶った気がします。

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【フォトライターの仕事】『旅の手帖』能登の連載、ついに最終回!

月刊『旅の手帖』で、2024年5月号から、途中リニューアルを経て、15ヶ月にわたって続けて来た能登の連載は、6月10日発売の7月号で一区切りとなりました。

ちなみに、人気がなくて連載が打ち切りになるのではなく、読者アンケートでは常に上位となる人気ぶり。ただ、そろそろ次のステップにということで、今後は、不定期で「ご当地いま推し!」などで、能登の情報を発信していくそうです。

今までこの連載にお力添えをくださったたくさんの皆さんに、心から御礼を申し上げます。

地震で約3メートルも隆起し、さらに昨年9月の豪雨災害では後ろの山が崩れて塩田を覆った

さて、連載の最終回に選んだのは、珠洲市にある「道の駅 すず塩田村」です。地震と豪雨のダブルパンチを受け、奥能登の中でも復旧が遅れている場所で、ようやく再開できたところです。

揚げ浜式塩田で採れた塩を久しぶりにちゃんと味わいましたが、ここの塩は塩なのに後味に甘さを感じるんですよね。顕微鏡で見ると、結晶がミルフィーユのような層状になっていて、そのためだとか。

かん水を釜で炊く釜屋。煙突はなく、屋内に煙が満ちる

塩田でできた「かん水」を、釜で炊いて塩を作ります。その時に使う薪は、廃材などは使わず、里山から伐り出してきた杉と松を使い分けているとか。塩を炊く釜屋内は薪の煙が立ち込め、「廃材を使うと何がついているか分からず、口に入るものを作っているからには使いたくない」という、先代の浜士からのこだわりを今も守り抜いているそうです。里山の木を使うことで、里山の環境も維持されています。「500年続いたものを自分たちの代で終わらせることなく、次世代へ引き継ぐ責任がある」と話す駅長の言葉が心に響きました。

すず塩田村の塩は結晶が層状に

塩田という存在に、改めて強い関心を抱いた今回の取材でした。また機会があれば、もっと詳しく塩田のことを紹介したいなと思っています。

そう言えば、この連載では能登の塩を2回取り上げましたね。最初に紹介した能登島の塩は、海水をギューっと圧縮したような、海の味がする塩で、すず塩田村のものとは、同じ塩でもかなり味が違い、それぞれに良さがあります。我が家では、この2種類の塩を普段使いしていまして、塩に関しては、かなりの贅沢をしているかなと思っています。

これからの能登にはいろいろな形で関わらせていただくつもりですので、引き続きよろしくお願いいたします。

*連載記事は数ヶ月遅れになりますが、旅の手帖WEBでも読むことができます。

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【フォトライターの仕事】ジパング倶楽部WEBで金沢・長町武家屋敷跡の新名所を紹介!

旅行会員誌『ジパング倶楽部』のWEB版で、金沢の観光名所・長町武家屋敷跡で、この春から一般公開が始まった「千田家庭園」(金沢市指定文化財)を取材・撮影・執筆しました。

兼六園の影響を強く受けているというお庭は、長町武家屋敷跡を流れる大野庄用水の水が取り込まれている池泉回遊式で、規模はそれほど大きくはありませんが、とても美しく、見応えがあります。

西南戦争で西郷隆盛の首を発見した人物としても知られる千田登文(のりふみ)の功績や千田家庭園の特徴を紹介する資料館も併設されています。

場所は武家屋敷跡 野村家の隣です。2つの庭園を見くらべて見るのもおすすめ!

詳細は下記のジパング倶楽部WEBの記事をご覧ください。
https://www.toretabi.jp/zipangclub/page/tabineta2506_2.html

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【フォトライターの仕事】『旅の手帖』6月号

『旅の手帖』6月号では「沖縄」を特集!

私は連載「来て、見て、能登」で、輪島市門前にある「食事処 縁(えにし)」を取材・撮影・執筆しました。

地震と豪雨に見舞われながら、少しずつ復興に向かっていく姿に、話を聞くこちらが勇気をもらいました。

近くの港は地震で4メートルも隆起し、船が岸壁につけられなくなっていましたが、現在は仮復旧されて、魚の水揚げもできるようになっています。

縁は現在、仮設店舗で営業していますが、今年の秋には実店舗が完成する予定で、宿泊もできるようになるそうです。
門前で水揚げされたおいしい魚を食べに、また行きたいな。

ぜひ、お読みくださいね!

『旅の手帖』6月号
https://www.kotsu.co.jp/products/details/016016.html

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【フォトライターの仕事】楽天トラベルガイドで糸魚川を紹介しました

初めてのご依頼で、宿泊予約サイト「楽天トラベル」の「楽天トラベルガイド」で糸魚川の取材・撮影・執筆を担当しました。
大雪で取材が順延になったり、冬の荒れた日本海でヒスイ拾いはキツかったり、天気が良くなくて借りた写真が多かったりしていますが、ようやく無事アップされました。

新潟で絶景やカニを堪能!1泊2日で楽しむ糸魚川のおすすめ観光モデルコース

記事に出てくる「糸魚川ブラック焼きそば」すごくおいしかったです。

交通の難所「親不知」の変遷がひと目で見られる眺めは興味津々。
波打ち際を加賀のお殿様も越えていたのかと想像すると、感慨深いですね。

ユネスコ世界ジオパークの「糸魚川ジオパーク」をテーマにした旅の案内に仕立てていますが、糸魚川って、多くの観光地や名産品や特産品、そしてそこに関わる人々の話すことにも「ジオパーク」の考え方がしっかり反映されていることに感心しきり。
「ジオパークって何?」という疑問が、ここを訪れるとスッと解消されます。

久しぶりに糸魚川を観光しましたが、ますます好きになりました。

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「北陸の桜名所図鑑 〜地元フォトライターが選ぶベスト100」を公開しました!

北陸の桜名所を紹介していた投稿を改訂して全100箇所に増やして公開しました!
2025年のお花見の参考にぜひ!

北陸の桜の名所がここまで揃っているサイトはなかなかないと自負しています! しかも全写真撮り下ろしです。

今後は100以上は増やさず、適宜差し替えをしていくつもりです。
よろしくおねがいします!

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