小松市の里山には、まさしくそんな風景が点在しているのをご存知でしょうか?
小松市滝ヶ原町は、江戸時代から現在も、緑色凝灰岩(グリーンタフ)の滝ヶ原石を産します。その石は、古くは小松城や金沢城の石垣の一部や、また福井地震で倒壊した丸岡城(国の重要文化財)の修復された石瓦も使われ、優れた石材として人気があります。
この滝ヶ原町ののどかな里山風景の中でひときわ目を引くのが、江戸時代から昭和の中頃まで、滝ヶ原石の最盛期を支えた「西山石切り場跡」。ジブリ映画の『ラピュタ』に出てきそうな佇まいですね。崩落の危険があるため、残念ながら近づくことはできませんが、遠くからも採掘の跡がよく見えます。
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また、滝ヶ原で石にまつわる一番の見どころが、「滝ヶ原アーチ型石橋群」めぐり。明治後期から昭和初期に建造されたアーチ型石橋が、町内に5つも残っています。
実は、日本のアーチ型石橋というのは9割以上が九州に集中しているそうで、本州ではこのような石橋群が存在することは大変珍しいのだとか。
5つのうち3つは、欄干が無く、ちょっとスリリング。また、西山橋と大門橋は車でも渡ることができます。下を流れる川の水の美しさにも目を奪われます。
*橋の名前をクリックするとグーグルMAPが開きます!(以下同じ)
東口橋/橋長9メートル、幅員2.5メートル
丸竹橋/橋長14.3メートル、幅員4.2メートル
西山橋/橋長12メートル、幅員3.9メートル
我山橋(がやまばし)/橋長10メートル、幅員2.7メートル
大門橋/橋長11.5メートル、幅員3.2メートル
のどかな里山の風を感じながら、ひっそりとたたずむアーチ型石橋群めぐり。
マニアックですが、なかなか楽しい、小松の穴場です。
ありきたりの観光地に飽きた方におすすめします。
写真と文/若井 憲 Ken Wakai フリーランスで編集・ライター・カメラマンを兼務。得意ジャンルは旅行と文化。金沢市在住で北陸地方なら、得意ジャンル以外も実績は多岐にわたる。撮影ができるのも強み *取材・編集のご依頼はこちら