【富山・石川】北陸の桜名所図鑑 2022年に一気にめぐってきた編〜2023年の花見スポット探しに使える! 穴場スポット情報も〜

やっぱり桜好きにはたまらない北陸

「北陸の桜名所図鑑 2021年に一気にめぐってきた編」に引き続き、今年は富山県と石川県を中心に、今まで行ったことがなかった桜名所に重きを置いて、30カ所をめぐってきた。

福井市や金沢市、富山市といった街なかの桜(ソメイヨシノ)の見頃は4月上旬。だいたい東京や大阪などから1週間遅れという感じ(年によって結構違う)。北陸の場合、緯度の違いに標高の違いも加わり、桜前線が長く留まるのが特徴だ。3月下旬から5月上旬の1カ月ちょっとの間、北陸のどこかに行けばソメイヨシノの花を見ることができるのが大きな特徴だ。

北陸は自生する野生の桜の種類が多いのも特筆したい。早咲きのキンキマメザクラ、ソメイヨシノとほぼ同じくらいに咲くヤマザクラやオオヤマザクラ、エドヒガンなど、そして忘れた頃に咲くカスミザクラ、立山や白山で6月や7月に咲くタカネザクラなども。また、菊桜といわれる花びらが何百枚もある桜や固有の桜も多く、桜が好きな人にとっては話題に事欠かないエリアなのだ。

2022年にめぐった北陸の桜名所を時系列で一挙公開

2022年に回ってきた北陸の桜名所を一挙公開!
北陸の桜の見頃はいつ? おすすめのスポットは? 穴場の名所は? などなど、2023年以降の花見のご参考にもどうぞ!!

○2022/3/27 石川県林業試験場樹木公園【石川県白山市】

春遅い北陸各地からも河津桜が満開との便りが届いているころ、ここは標高が高いせいか、河津桜はまだ3〜4分咲き。花が少ない時期なのでハチがたくさん飛んでいた。ハチを撮りたかったけど、ハチにピントを合わすのは至難の業。

○2022/3/27 根上山【石川県能美市】

「根上松」がある根上山は源平古戦場跡で能美市指定文化財。山の頂上には白山遥拝所跡もある。ここには7種類約150本の桜が植えられ、早咲きの「大漁桜」が一足早く桜シーズンの到来を伝える。
大漁桜は、静岡県熱海市で誕生した園芸種で、淡い紅色の花が桜鯛を想像させ、その漁の時期とも重なることからこの名前がついたそうだ。桜餅の葉っぱに使われることで知られるオオシマザクラの系統ということで、近づくと桜餅のような香りもほのかに漂う。
ここにはメジロやヒヨドリが蜜を求めてたくさんやってきていた。

○2022/4/1 兼六園【石川県金沢市】

四季折々の美しさがある兼六でも、桜が満開の頃はやっぱり格別。日本さくら名所100選の一つで、ソメイヨシノはもちろん、桜に種類が多いことでも知られていて、石川県を代表する桜の名所。開花時期に行われる夜のライトアップも必見。訪れた時は満開にはまだ早く3分咲きくらいだった。

○2022/4/1 金沢城公園【石川県金沢市】

兼六園の向かい、石川門周辺や内堀沿いの桜並木がみごと。こちらも夜間ライタップが行われる。

○2022/4/5 朝日山公園【富山県氷見市】

約170本のソメイヨシノが咲く公園。展望台からは、桜の花越しに富山湾を一望できる。訪れた時はちょっと早すぎて1分咲き。2021年には「見晴らしの丘も」オープンしている。

○2022/4/5 富岩運河環水公園【富山県富山市】

都会的なオシャレな水辺空間に、スッと並んだ桜並木が映える。桜の下の芝生に座って見上げたり、この公園のシンボル・天門橋から見下ろしたりと、思い思いに桜を楽しむ人がたくさん。特に若い人に人気がある。訪れたには立山連峰もきれいに見えて、絶景だった。

○2022/4/5 富岩水上ライン【富山県富山市】

富岩運河環水公園を発着する富岩水上ラインの船上からは運河沿いに点在する桜の花を楽しむことができる。国指定重要文化財の中島閘門(船のエレベーター)を抜けたあたりと、運河を抜けた富山港のあたりの桜が見事なので、岩瀬行きの乗船がおすすめ。

○2022/4/5 岩瀬浜駅付近【富山県富山市】

岩瀬カナル会館前、富山地方鉄道富山港線の電車と桜のコラボが美しかった。知る人ぞ知る桜スポット。

○2022/4/5 富山駅前【富山県富山市】

北陸新幹線開業で新しくなった富山駅南口の広場には14本の桜の木が植えられている。このうち3本はワシントンDCのポトマック川河畔の「日米友好の桜」(高峰譲吉博士が関係している)を挿木で育てた「里帰り桜」だ。駅前商業施設MAROOTもオープンして人気のエリア。

○2022/4/5 松川公園【富山県富山市】

「松川ベリ」とも呼ばれる松川沿いの桜並木。夜は一部がライトアップされ、川面に映る桜が幻想的。路面電車を絡めて撮影するのも面白い。日中は桜のトンネルを進む遊覧船が名物。日本さくら名所100選。

○2022/4/5 富山城【富山県富山市】

城と石垣との対比や、堀の水面に反射する姿が美しい。夜はライトアップもされる。

○2022/4/6 稲荷公園【富山県富山市】

市の中心部からも近い広大な公園で、遊具施設が充実している。中央を流れる川沿いには桜の並木が続き、丘の上にある遊具施設に登れば、桜並木の上には立山連峰が望める。

さらに、この公園を挟むように、北陸新幹線とあいの風とやま鉄道、富山地方鉄道の3つの線路が走り、花見と一緒にいろいろな列車も見ることができる。

○2022/4/6 富山県中央植物園【富山県富山市】

日本海側初の総合植物園として平成5年に開園。90種類以上の桜を見ることができ、なかでも90本のソメイヨシノがつくる桜のトンネルは圧巻。桜並木の向こうには立山連峰のパノラマが広がる。「花のプロムナード」と名づけられたこの桜並木は、見頃にあわせて夜間ライトアップを実施。
※トップの写真も富山県中央植物園です。

○2022/4/6 神通川さくら堤(神通の千本桜)【富山県富山市】

神通川の中洲を囲むように、堤に800本の桜が4.8kmにわたって植えられている「神通川さくら堤」。残雪の山々を望む風光明媚な田園地帯に、神通川右岸の「塩の千本桜」と合わせ、1000本もの桜がつくる花の回廊は圧巻。
※神通の千本桜が正式名称とのご指摘をいただきました。連絡が取れず、詳しいお話が聞けていませんので、とりあえず、( )でご指摘の名称を入れています。

○2022/4/6 塩の千本桜(塩の桜堤)【富山県富山市】

神通川の右岸・塩の堤防に200本の桜が約1kmにわたって植えられている「塩の千本桜」。「神通川さくら堤」の800本の桜と合わせ、1000本の桜が続く。
※塩の桜堤が正式名称とのご指摘をいただきました。連絡が取れず、詳しいお話が聞けていませんので、とりあえず、( )でご指摘の名称を入れています。

○2022/4/6 高岡古城公園【富山県高岡市】

日本さくら名所100選にも選ばれた北陸を代表する桜の名所。園内には18種約1,800本の桜があり、中にはこの地方特有の品種の「コシノヒガンザクラ(越の彼岸桜)」もある。高岡城築城の翌年に、高岡城の馬場に砺波の山から移植されたとされ、さらに最近の研究では一般的なコシノヒガンザクラとは別の品種であることが分かり、「タカオカコシノヒガン」と命名された。小竹藪広場や本丸広場の桜が人気だが、本丸広場から外に出た池の端濠沿いの眺めも見事。

○2022/4/6 岸渡川桜並木【富山県高岡市】

岸渡川の両岸約1kmに約1000本のソメイヨシノが植えられ、見事な桜のトンネルを作る。夜間はライトアップも行う。

○2022/4/8 桜づつみ【石川県川北町】

手取川にかかる辰口橋のたもと、堤防上に約950メートル、ソメイヨシノ206本と枝垂れ桜3本の桜並木がある。堤防上の道は車で走ることができる。よく晴れた日は桜の木越しに白山連峰を望むこともできる。開花期間中はライトアップも。

○2022/4/8 木場潟公園【石川県小松市】

木場潟周りにある1周6.4kmの周遊園路には、約1700本の桜並木が続く。桜の花に時期には、木場潟の水面と桜、白山が織りなす絶景に出合える。

○2022/4/8 芦城公園【石川県小松市】

芦城公園は、第3代加賀藩主・前田利常の隠居城であった小松城の三の丸跡に作られ、池泉回遊式庭園となっている。
園内には約130本のソメイヨシノが植樹され、開花時期は花見客で大いに賑わう。夜はぼんぼりが点灯し、宴会もOKだが、2022年は中止だった。

○2022/4/9 浅野川大橋周辺【石川県金沢市】

女川の別名がある浅野川にかかる浅野川大橋(国登録有形文化財)から、上流の梅ノ橋の間には、両岸に桜並木が続く。夜は投光器によるライトアップはされないが、ぼんぼりに照らされた桜が妖艶で美しい。梅ノ橋のたもとでは菜の花と桜のコラボも楽しめる。

○2022/4/9 主計町茶屋街【石川県金沢市】

浅野川にかかる浅野川大橋(国登録有形文化財)と下流の中の橋の間、左岸にある主計町茶屋街の河畔には桜並木が続く。夜、投光器によるライトアップはされないが、ぼんぼりとガス燈に照らされ、茶屋街らしい妖艶で美しい夜桜を見ることができる。2022年に浅野川大橋寄りの桜の木が1本、根が腐って倒木の恐れがあることから伐採されてしまい、少し寂しくなってしまった。

○2022/4/11 母恋千本桜【石川県内灘町など】

「花見がしたい」という、金沢医大に入院していた余命いくばくもない母の願いを叶えたいと願い、その思いがたくさんの人の心を動かして、内灘町、金沢市、津幡町にまたがる1500本、4.5kmの桜並木ができあがった。

○2022/4/11 小丸山城址公園【石川県七尾市】

加賀藩祖の前田利家により築かれた小丸山城。江戸時代初期、一国一城令に従い廃城となった。その後、大正時代に公園として整備される。小高い丘にあり、七尾湾や七尾の町を一望できる。ソメイヨシノをはじめ、八重桜やしだれ桜など、約250本の桜があり、春は桜の名所として賑わう。

○2022/4/11 のと鉄道笠師保駅【石川県七尾市】

能登半島を走る第三セクター鉄道ののと鉄道といえば、能登鹿島駅の桜が有名だが、実は他の駅にも桜の木が植えられていて、列車に乗りながら花見が楽しめる。笠師保駅もそんなひとつ。他にも田鶴浜駅や能登中島駅、西岸駅などが見事だ。
ちなみに、笠師保駅には「恋火駅」という愛称があり、これは「塩津かがり火祭り」というキリコ祭りが由来。「海側の神」と「山側の神」が海の上で逢瀬を遂げるというロマンチックなストーリーの祭りだ。

○2022/4/11 のと鉄道能登鹿島駅【石川県穴水町】

能登半島のさくらの名所としても人気があるのと鉄道能登鹿島駅。「能登さくら駅」の愛称もある。NHKのドキュメンタリー番組で紹介されて、ますます人気となって、平日でも大賑わい。ホームに沿って約100本の桜が植えられ、その6・7割が樹齢90年を超え、一説では60歳が寿命ともいわれるソメイヨシノにしてはかなりの老樹。ただ、駅周辺の住民が会員の「能登鹿島駅さくら保存会」の手厚い保護により、いずれの木も元気そのもの。特に海側の上りホームの桜は枝ぶりがよく、枝越しに広がる七尾湾には感動する。駅の裏の斜面には枝垂れ桜も植えられ、その上の高台には展望台もでき、ここは桜のテーマパーク様相。老いも若きも、のどかな花見を楽しめる希少なスポット。夜はライトアップも行う。
※2023年3月10日発売の『旅の手帖』4月号では、能登鹿島駅を中心としたのと鉄道の旅を4ページで紹介しました。

○2022/4/11 のと鉄道西岸駅付近【石川県七尾市】

のと鉄道能登鹿島駅の隣が西岸駅。テレビアニメ『花咲くいろは』に登場する「湯乃鷺駅」のモデルとなった駅で、駅の東側には海が、西側には緩やかな棚田が広がっている。駅周辺には桜並木もあり、能登鹿島駅ほどではないが、ここも桜と鉄道、そして菜の花が一緒に撮れるスポットとして密かに人気。

○2022/4/12 松月寺のサクラ【石川県金沢市】

重要伝統的建造物群保存地区にも選定された金沢市寺町の松月寺にあり、境内から寺町通りに覆いかぶさるように枝を広げた見事なショウゲツジザクラ。あまり知られていないが、北陸では唯一、国の天然記念物に指定されている大変貴重な桜で、推定樹齢は400年。大桜、御殿桜とも呼ばれる。ヤマザクラの系統とみられ、見ごろはソメイヨシノよりほんの少しだけ遅い感じ。

○2022/4/12 高尾城址見晴らし台【石川県金沢市】

石川県教員総合研修センター近くにある高尾城址。丘一面に桜が植えられて、その様子は麓からもよく見える。駐車場から300段ほどの階段を登れば、「高尾城址見晴らし台」に到着。桜越しに金沢市街や日本海まで一望できる大パノラマは壮観だ。夜景スポットとしても知られているが、夜、ここまで登ってくるのはなかなか大変そうだ。
今年は見頃を過ぎてしまっていたので、来シーズン以降に再訪したいっていうか、通っちゃいそう。

○2022/6/17 立山黒部アルペンルート・黒部平【富山県】

北陸の桜を撮り歩いている私にとって、ずっと念願だったタカネザクラを、今年ようやく撮影することができた。この桜、中部山岳国立公園の標高の高いところでは7月でも花が見られ、実は桜前線を締めくくる桜とも言われることもある。写真は標高1,828メートルの黒部平付近で撮影。立山連峰と後立山連峰が聳えるスゴイ山の中だが、ロープウェイの駅から歩いて数分で辿り着ける。

筆者が書いた「北陸の桜」の記事は他にもあります。

祝! 北陸新幹線敦賀開業 福井の桜名所 〜人気スポットから穴場まで、2024年のお花見〜

祝! 北陸新幹線敦賀延伸 金沢でお花見〜人気スポットから穴場までおすすめ26選〜

【富山・石川・福井】北陸の桜名所図鑑 〜地元フォトライターが選ぶベスト100

【富山・石川・福井】北陸の桜名所図鑑 2021年に一気にめぐってきた編

写真と文若井 憲 Ken Wakai
フリーで編集・ライター・カメラマンを兼務。得意ジャンルは旅行と文化。金沢市在住で北陸地方なら、得意ジャンル以外も実績は多岐にわたる。撮影ができるのも強み
*取材・編集のご依頼はこちら
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今年もお世話になりました!

今年もあとわずか。
個人的には激動の一年でした。

フォトライターとして認知されるようになって、取材仕事のすべてが撮影込みでいただけるようになったこと。
北陸三県以外に、長野県、滋賀県、京都府(海の京都)、岐阜県(飛騨地方)の取材依頼が増えたこと(得意エリアを増やすのが念願なので、願ったり叶ったり)。
撮影だけの仕事が入ってくるようになったこと(東京の有名なフォトエージェンシーから!)。
編集能力とSDGsの知識を買われて、観光地のSDGsプログラム開発や修学旅行生向けのプログラム開発など、今までとは違ったジャンルの仕事をいただけるようになったこと。
若手ライターや学生の育成に関われたこと。
などなど。

2022年に取材を担当した雑誌など(一部)

雑誌やウェブの取材記事も、まずまず順調に受注することができました。
ただ、2018年のフリーになった時に比べ、明らかに紙媒体の点数は減っています。
時代の流れなのかもしれませんが、ちょっと寂しい。
ドッコイ頑張っている紙媒体は、これからも全力で応援していきたい!

撮影機材の維持費を稼ぎ出すために始めたストックフォトも、最低レベルの目標クリアが見えるところまできました。
飛躍的に仕事が増えたとか、収入が増えたわけではありませんが、少しずつ目指していきたい方向にシフトできつつあるのは、うれしいこと。

12月には短納期の仕事を抱えて、右往左往していた中で、不覚にも新型コロナウィルスに罹患してしまうという失態もありましたが、それでも納期を守れたことは、変な自信にも(笑)。
来年は、フォトライターの仕事はもちろん、今までの経験を少しでも世の中に還元できるようなこと(ライターや観光など)も携わって行けたらいいなと思っています。

同世代からは定年退職やセカンドライフの話題を多く聞くような歳になりましたが、まだまだ伸び代があると実感できる仕事人生を歩んでいることは幸せなことだと思います。
これで、収入も増えてくれれば言うことないのですが(笑)。

今年もお世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

では、良いお年をお迎えください。

(けん)

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【フォトライターの仕事】『旅の手帖』8月号で粟津温泉法師を紹介しました

『旅の手帖』2022年8月号(交通新聞社刊/7月8日発行)の特集「皇室ゆかりの地へ」で、皇室をもてなした極上の温泉宿の粟津温泉法師の取材・撮影・執筆を担当しました。

石川県の粟津温泉にある法師は奈良時代に創業、46代にわたり一族のみで経営を続けている世界的にも非常に稀有な存在です。
皇室の方々が宿泊された離れ(延命閣という特別室)は当時とほぼ変わらず、国の登録有形文化財に登録されています。
『旅の手帖』では延命閣の詳細を写真を交えて紹介しています。

延命閣にある懐かしい電話

延命閣は宿泊することもでき、この夏は、ちょっと贅沢にロイヤルステイを楽しんでみてはいかがでしょうか?

明治時代に建てられた玄関棟も国の登録有形文化財

『旅の手帖』8月号の詳しい情報はこちら

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【フォトライターの仕事】『旅の手帖』2月号 小説の舞台を辿る

『旅の手帖』2022.2月号では、「作者が描いたあの場所へ 小説の舞台を辿る」を特集。
よしもとばなな、森見登美彦、原田マハといった現代作家編と、室生犀星、太宰治、川端康成の文豪編から構成され、室生犀星のページの取材と撮影を担当しました。

犀星の小説家デビュー作の『幼年時代』の舞台を訪ねる4ページと、金沢市にある室生犀星記念館の名誉館長で犀星のお孫さんの室生洲々子さんのインタビュー2ページで、合計6ページ。この特集で登場する作家の中では、室生犀星が一番たくさんのページを割いて掘り下げています。きっと犀星の知らなかったことにもふれていただけるのではないかと思います。

犀星が小説で描いた金沢の情景を辿り、「ふるさとは遠きにありて」の詩に込めた思いを探りながら、改めて金沢のまちを歩いてみると、風景が今までと違って見えてくるから不思議です。
戦後は一度も金沢へ戻ることがなかった犀星ですが、犀川ベリのこの風景を忘れたことはなかったでしょう。

ところで、犀星の娘で『杏っ子』のモデルになった随筆家の室生朝子さんも、「たぶん『旅の手帖』に寄稿していたハズ」と、娘の洲々子さんに聞かされ、いつも以上にプレッシャーを感じつつ、原稿を書き、なんとか校了できた時は、いつも以上に安堵しました。
『旅の手帖』って、実はすごい歴史があって、名にし負う人たちが寄稿している──。改めてその伝統をずっしりと感じています。


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【ライター&カメラマンの仕事】旅の手帖2021年8月号 気軽に島旅

『旅の手帖』8月号(2021年7月9日発売)の第1特集は「気軽に島旅」。このご時世、離島に行って浮世離れを味わうことはなかなか難しいですが、日本には陸続きとなっていて車で気軽に行けて、なおかつ島旅気分が味わえる、そんな島もたくさんあります!

天草パールライン、しまなみ海道、沖縄の海中道路をはじめ、行ってみたいところがたくさん。小学校の遠足で行った城ヶ島や朝の連ドラのロケ地としても注目の気仙沼大島も!
美しい写真とともに、「あー、早く島に行きたい!」って気持ちが募ってきます。

そして北陸からは、七尾湾に浮かぶ能登島がピックアップされ、執筆と撮影を担当しました。のとじま水族館や能登島ガラス工房、知る人ぞ知る伝説の島の定食屋さんも登場。
沖縄や九州の島に負けぬよう、がんばってトロピカルムードにしてみました。

いろいろ自粛しないといけない今でも、気持ちだけは自粛しちゃダメ! 『旅の手帖』で「旅したい」気持ちを全開にしましょう!

『旅の手帖』8月号の詳細は下記をご覧ください。
https://www.kotsu.co.jp/products/details/252107.html

さて、能登島はおそらく我が人生の中で一番多く訪ねている島かなと思いますが、つぶさに見て回るといろいろ面白い発見もたくさんありました。せっかくなので、ボツになった写真とあわせてほんの一部をここで紹介します。

車で通り抜けるだけだった能登島大橋。歩いて渡るとこんな絶景が待っている
のとじま水族館の海の自然生態館にはカマイルカがいて、ヒマだとカマってくれと寄ってきます(笑)
能登島の特徴の一つ、田んぼと海の近さ。こんなに近くて塩害とか大丈夫?
松島海水浴場近くから。富山湾越しに北アルプスを望む
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ちょっと原稿書いて欲しい。ちょっと写真撮って欲しい。手軽に原稿作成&セルフスタイル撮影を始めました!

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2020年 お仕事まとめ

2020年、コロナ禍で大変だった中でも、いろいろお仕事をさせていただくことができました。ここでは1年の仕事を、個人的に気に入っているキャッチーなコピーとともに振り返ってみます。
*リンクがあるところは、その記事をお読みいただくことが可能です。

塩をいっさい使わない奇跡の漬物
木曽すんき

 旅の手帖2020.2月号

これで完璧!
はじめてのひがし茶屋街楽しみ方ガイド

 金沢市観光公式サイト 金沢旅物語

昆布を生かしたご当地定番の味
富山おでん

 ジパング倶楽部2020.2月号

古き良き金沢の暮らしも一緒に味わえる
金澤町家で伝統文化を体験する

 旅がもっと楽しくなる かなざわ自由時間

自宅用にもギフトにも喜ばれる
「わたしのまちのお土産品」
金沢出身の文豪・室生犀星の豆本

 マガジンハウス コロカル

大河ドラマの舞台で戦国武将の謎解きに挑戦
明智光秀ゆかりの地

 ジパング倶楽部2020.3月号

現代アートがつないで15年
美術館がまちを変えた!

 旅の手帖2020.5月号

「美と健康」をテーマに、新たな挑戦を続ける

 BeCAL富山 2021年度版

JALスタッフが厳選。
小松空港に並ぶ、魅惑の石川県土産10選

 OnTripJAL

人が守り育てた高山植物の楽園へ
白山高山植物園

 旅の手帖2020.6月号

金沢で温泉旅館に泊まる!
和とおもてなしの心が感じられる旅をしよう

 金沢市観光公式サイト 金沢旅物語

あなたの知らないホタテの世界

 ジパング倶楽部2020.6月号

金沢には花の名所がたくさん!
春夏秋冬、見逃せないお花スポット徹底ガイド

 金沢市観光公式サイト 金沢旅物語

今を生きる作家とならば、
話し合いながら創作することができます

 ジパング倶楽部2020.8月号

遺伝カウンセラー養成専門課程を北陸で初めて開設

 m3.com地域情報

ごちゃまぜの思想
「シェア金沢」の多様性が地域コミュニティを再生する

 地域人第63号

1型糖尿病の研究に打ち込み、
新たな治療法の開発に着手

 m3.com地域情報

“日本一の宿”で過ごす、1泊2日の愉楽

 ジパング倶楽部2020.12月号

金沢は回転寿司がおいしい。
秋の海鮮、食べ歩きの旅

 OnTripJAL

遠隔授業支援システムを独自開発。
福井大流オンデマンド授業で前期授業の遅れ無し

 m3.com地域情報

今年は医療サイトや地域学の専門誌など、新たなジャンルにも挑戦することができた1年でした。ここで紹介したのはほんの一部ですが、なんだかんだ、充実した一年でした。皆様、お世話になりました。

2021年は、まずは何よりコロナを収束させて、安心した暮らしを取り戻したいものです。
では、よいお年をお迎えください!

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【ライターの仕事】『地域人』第63号など

『地域人』2020年11月10日発売 1000円+税

大正大学地域構想研究所が発行する季刊誌『地域人』に初執筆しました。
地域の活性化を担う”地域人”が主役という雑誌。今回は、金沢市にある「シェア金沢」を取材し、4ページで紹介しています。

シェア金沢」、実は今回はじめてじっくり見せてていただき、しっかりとお話をお聞きしましたが、実に面白いところです。「ごちゃまぜ」がいろいろな相乗効果を生み、しっかりと成果を残していることがすばらしいと思います。

誰でも入れる温泉施設があり、併設の蕎麦処ではブータン産のそば粉を自家製粉した外一の本格そばが食べられるのも感動しました。

何を隠そうこの雑誌、ずっと気になっていて、1年くらい前に営業をかけて、ようやく仕事をいただくことが叶いました。

久しぶりに「人」がタイトルに付く雑誌の記事を書きましたが、なんか、すごく親近感を感じました。人が主役の雑誌ってやっぱいいですね。また機会をいただければ、北陸の地域の主役にスポットライトを当てた記事を書かせていただきたいなと思います。

大正大学地域構想研究所『地域人』

『ファイナンシャルフォーラム』2020年11月1日発行(非売品)

それから、京都銀行グループの京都総合経済研究所が発行する『ファイナンシャルフォーラム』130号では、全国の伝統工芸の新しい動きについて記事を書きました。

一見関連性のなさげな、さまざまなジャンルのメディアで仕事をさせていただいておりますが、最近、それぞれが視点を変えて、有機的なつながりを持ちつつあることを実感しています。

*お仕事のご依頼は、お気軽にこちらからどうぞ!

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【ライターの仕事】白山高山植物園を紹介──『旅の手帖』6月号

『旅の手帖』2020年6月号

『旅の手帖』6月号は第一特集が「花の高原トレッキング」、第二特集は「東京が新しい」です。なんと、「高山植物ミニ花図鑑」の特別付録付き!

なかなか旅行に行きにくい状況ですが、色とりどりの高山植物が咲き乱れる全国の「お花畑」の写真を見ていると癒されます。そして、まだまだ国内にも行ってみたいことがたくさんあることに気づかされます。旅したいですね。

新型コロナウィルスが猛威を振るう中、編集長が編集後記に寄せた「本を作り続ける思い」にも感動。

私は第一特集の中の2ページコラムで、白山高山植物園の取り組みを紹介しました。
亜高山帯や高山帯で咲く、高山植物を低地で咲かせるため、10年以上の歳月をかけての活動について白山高山植物研究会へのインタビューで構成しています。

昨年、2019年に撮影した白山高山植物園
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【column】こんな時だから、金沢の観光について考える

新型コロナウィルス感染症の蔓延により、世界中の観光が大打撃を受けている

観光産業は観光や宿泊の施設だけでなく、交通インフラ、飲食店、またそこと取引がある業者など、実は裾野が非常に広い産業で、社会全体に及ぼすダメージは大きい。

関係者の中には、「再開したらすぐに観光客が戻ってきてくれるのだろうか?」という心配もあるだろう。まずはコロナウィルスを収束させることが第一だが、その先の経済活動を考える上で、今から準備をしておくべきことがある。

実はこの時期、漫然と待っていてはいけない

旅行の良さ」、そして「旅行に行きたい」と思う気持ちを、多くの人に持ち続けてもらうために、やるべきことがあり、それを行ったかどうかで、収束後の動向に大きな違いが出てくると考える。

何をすればいいのだろうか?

人が動けない今、動かせるのは情報と、そして物だ。「疲弊した国民の心に寄り添える」存在であったり、あるいは「こんな魅力的な場所や食べ物があったのか」という発見をもたらす情報発信や、物の提供だったりを積極的に行っていくことは効果があると思う。

実際、Web上で見ると、例えば長野県が「観光地が感染防止にできること」として始めた「#おうちでながの」プロジェクトなど、自宅で旅行に行った気分に浸ってもらおうとする取り組みが積極的になってきている。これらはもちろん、収束後に真っ先に行きたい観光地としての印象づけという意味合いも強いが、外出したいが出かけられない人たちに癒しと希望をもたらしてくれる、ありがたいものでもある。

また、株式会社ブランド総合研究所(東京都港区)では、観光客の激減により、余剰在庫となっている全国各地の食品を、専用ECサイトを通じて販売、自宅にいながら観光気分を味わってもらおうというプロジェクト「おうちで観光地グルメ」を期間限定でオープンさせている。これは商品を提供する側にとっては消費の落ち込みをカバーしてもらえる救世主であることはもちろん、自社の魅力ある商品をアピールできるチャンスにも通じ、家にいながら、味覚で旅行気分に浸れるのは、娯楽が少ない中では何より嬉しい。

今は、このように社会貢献の役割を持たせた「出かけない観光」の楽しみ方を提供していくことで、旅行に行けるようになった時に備える、そのことに注力しているところは、きっと後々の旅行者来訪数にも反映できるのではないかと思う。

どんな人に来てもらいたいか、イメージすることが重要

そしてもう一つ、今だから考えたいことがある。それは、収束した後の観光のあり方だ。

かつてバブルが崩壊した頃を境に、観光形態は団体旅行から個人旅行へとシフトしていった。しかし、効率よく稼げる団体旅行への執着が強かった観光業界には、年々減少していく団体旅行の現実をみても、「いつかはまたあの時代が戻ってくるのではないか?」そんな妄想が捨てられなかった。

その結果は、団体客への依存体質を改めることができなかったホテルや旅館、土産物店などの倒産や廃業である。廃墟となった旅館などが温泉街の景観を崩し、さらには倒壊の危険が迫るなど、今なお地域に大きな影を落としているところも少なくない。

現在、日本の観光地の多くはインバウンドによって、新たなバブルのような状況になっている。京都のように、観光客が来すぎて雰囲気を壊したり、市民生活に重大な影響を及ぼしたりすることから、「観光公害」という言葉まで生まれている。わざわざ訪ねてきてくれた人たちに対して「公害」呼ばわりをすることに、個人的には強い抵抗を感じるが、確かにこの状況は、訪れる方にも迎い入れる方にもメリットはなく、何らかの改善をしないといけないのは事実である。

例えば金沢を例にとって考えてみる。新型コロナウィルスの問題が起こる前、まちは多くの観光客であふれ、近江町市場やひがし茶屋街など、一部の観光地ではオーバーツーリズム(観光公害)の問題が起こり始めていた。

業を煮やした近江町市場のある店先には、観光客を愚弄するかのような警告も登場。その内容の稚拙さが、市場全体のイメージをダウンさせていたことを記憶している人もいると思うが、実際、近江町市場の鮮魚店で話を聞くと、「観光客はほとんどが何も買ってくれない」と嘆いていた。近江町市場内には観光客をターゲットにしている店とそうでない店とが混在していて、現実としては観光地化されることに抵抗がある店もあると聞く。

近江町市場に限らず、2015年に北陸新幹線が開業し、想定を大きく超えた観光客が押し寄せ、さらにここ数年のインバウンド・ブームで、現状の対応に振り回されて、先のビジョンを考える余裕がなかったのだろう。しかし、今こそ、そういった態勢を考え直してみるタイミングだと思う。

一方で、金沢以外の周辺エリアへの波及効果は期待したほどではないという実情や、これはあくまでも個人的な印象だが、金沢自体の魅力度が下がってきているような気がするのも気になる。

それは何か?

金沢は新幹線開業で多くのテレビや雑誌で頻繁に取り上げられるようになり、知名度や人気度が急上昇した。しかし、そこで取り上げられるものの多くが、近江町市場の海鮮丼や、冬の加能ガニ等々、反響の大きいものばかりを、繰り返し繰り返し発信してきた。
その発展形として、グルメのまちとして金沢のイメージも定着したことは歓迎だが、それも多くは散発的なお店紹介に終始していて、しかも「京都っぽくていい!」みたいな位置づけになっているのも否めない。
そこにきて、インバウンド・ブームで兼六園などは日本人よりも外国人であふれ返る、まさに金沢自身が、金沢らしさを見失ってしまっているのではないだろうか。

「金沢らしさって何?」 答えられる人はどれだけいるのだろうか

前段が長くなってしまったが、「収束した後の観光のあり方」を、今こそ考える時間と捉えるべきかと思う。来る人全てを拒まずという体制では既に無理が出てきつつある現状、この先は「選別」を考えるべきなのかもしれない。

金沢だったら、グルメ、そして金沢21世紀美術館が創り上げたアートという2つの強いイメージがある。
例えばこれに沿った興味のベクトルを持つ人へ積極的にアプローチして、そのイメージをさらに強めてブランド力を高めていくのもいいかもしれないし、単純にいわゆる「富裕層」を意識した展開を厚くしていくということもありだと思う。あるいは広域での連携を行い、周辺地域へも観光客に足を延ばしてもらう工夫を行い、分散化や経済効果の波及を考えるのもいい。

なお、「金沢といえば歴史と文化では?」と思われるかもしれないが、金沢をどんな切り口で紹介するとしても、その根底にあるのは歴史と文化で、すべての要素が歴史や文化と関わりを持たせて紹介すべきであり、それが金沢らしさを醸成してくれるはず。

バージョンアップした金沢に乞うご期待

先にも申した通り、「北陸新幹線ができて近くなった京都みたいな和風情緒漂う観光地」 実はこんなイメージが否めない金沢。

物見遊山的な旅行から、自分の興味あるテーマを深掘りしていく旅行へと、旅行者の意識が大きく変わってきている今を意識して、金沢らしさや金沢だからということをもっと前面に押し出していかないといけないのではないか、そんな危機感さえ覚える。

金沢はもちろん「京都のコピー」ではない。金沢の人は当然そう思っているが、実はそれは外にはあまり伝わっていない。もっと自信を持って「金沢らしさ」をアピールしていかねばならず、そのために、今このタイミングで、金沢の魅力をそれぞれが考え、実行に移す準備を行う期間だと思っている。

金沢のポテンシャルは、金沢の人が思っている以上に高い。

今を乗り切るのに精一杯かと思うが、一人でも多くの観光に直接、あるいは間接的に関わる人に、少しでもそのようなことを考えていただき、それを共有できる場ができたらいいなと願っている。もちろん、金沢に限ることなく、石川県、北陸、あるいは全国でも。

私は観光学の専門家ではない。「何を戯言を!」と思われる方もいるかもしれないが、自分の感覚や取材でさまざまな人の意見を聞く中から、導き出したものを披露させていただいた。

私自身も旅行を得意とするライターとして、引き続き、金沢や北陸の魅力を感じてもらえる情報発信を続けていくつもり。
それは、皆さんに、「また旅に行きたい!」という思いを忘れてもらわないために、観光地に暮らすライターがするべき使命だと思っている。

それよりまずは、皆さんにこの苦境を乗り越えていただくことを心から祈っている。

写真と文若井 憲 Ken Wakai
フリーで編集・ライター・カメラマンを兼務。得意ジャンルは旅行と文化。金沢市在住で北陸地方なら、得意ジャンル以外も実績は多岐にわたる。撮影ができるのも強み
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