遅ればせながら、私もAIを少しずつ活用するようになって、ここ半年はライター仕事の流れが大きく変わりつつあります。
今はまだ、試験的な導入であり、手探りの最中という状況ではありますが、それでも、AIなしの状況には戻りたくなくなりつつあります。
私の場合、メディアから仕事を受注して現地に取材に赴くのが基本スタイル。渡された企画書をもとに、具体的な取材先の候補を提出することを求められることが多く、まずはその「候補のリストアップ」と、取材先が決まった時点で始める「取材のアポ取り」と、質問項目を書き出した「ヒアリングシートの作成」という3つの作業が取材前の大きな仕事。これが終わると、取材が半分終わった気分になります。
さて、この「候補のリストアップ」と「ヒアリングシートの作成」は、どちらも下調べや情報収集にかなりの時間を要します。最近はこれを生成AIにも手伝わせています。
生成AIがつくったヒアリングシートは、一見全く問題のないと思われるものですが、たとえばこれをもとに質問をしていくと、現実的には答えにくい質問も混じっていたりして、まだまだ精査が必要なレベルですが、それでも、「そうだな、そういう質問もした方が面白いかもな」みたいな気づきをくれたりします。
もちろん、生成AIに指示をするプロンプトのつくり方に私が長けていないこともあり、能力を引き出せばもっといいものをつくってくれるのかもしれません。それでも、「取材候補のリストアップ」と「ヒアリングシートの作成」をゼロからつくることを考えると、かなりの効率化ができていることを実感しています。
ただし、情報漏洩に関しても注意を払わないといけないので、とりあえず、プロンプトには個人情報はもちろん、メディアの詳しい情報なども入れないようにしています。また、回答の情報源も明らかにさせることで、ネタ元の信憑性も判断するようにしています。
一方で、AIに頼るようになって、「これでいいのだろうか?」と思うことが最近よくあります。情報を集めたり、調べたりすることの効率が劇的にアップする反面で、いままで雑音のように混じってきた「当たらずとも遠からず」な情報が入ってこなくなることです。実はこういった情報が結構役に立つこともあるんです。
それから、生成AIが記事の道筋まで組み立ててくれることで、自分で考える力が養われなくなるのではないか、そんな危惧も感じています。なので私はあんまり頼り過ぎず、優秀なアシスタントがついてくれた程度に考え、かける時間を削減する効率化より、取材準備の密度を上げる方に活用することを優先したいと考えています。
実は「考える力」に関しては、取材が終わった後の執筆の方が影響は大きいかもしれません。このことは後日改めて掘り下げたいと思います。
AIの登場で、ライターを取り巻く環境は劇的に変化しています。
「そんなのわかんニャイ!」ってそっぽ向いていたら時代から取り残されちゃいますからね。私のような、おっちゃんフォトライターも必死にしがみついています、今のところは、笑