【column】実は路面電車ってSDGsをわかりやすくさせてくれる存在だった!

「SDGs」(持続可能な開発目標)はもうご存知かと思うが、17の目標と169のターゲットがある。一方、これもご存知かと思うが、「路面電車」とは、主に道路上に敷設された軌道(併用軌道という)を走る電車のことだ。今回、路面電車の魅力をSDGsの側面から掘り下げてみようと思う。公共交通機関として、SDGsの目標達成に貢献できることは多いが、実はそれ以外にもいろいろな側面があることを紹介したいと思う。

路面電車をとりまく現状

 かつては全国の主要都市で網の目のように走っていたが、モータリゼーションの影響で、多くが廃止に追い込まれた。私の生まれ故郷である川崎や、現在暮らしている金沢にもかつては路面電車が走っていた。私にとって、郷愁を誘う存在であるとともに、今も路面電車を走らせているまちにはある種のリスペクトのような感情を抱く。

 北陸では福井県や富山県に3つ、全国には北は札幌から南は鹿児島まで18の事業所が今も路面電車を走らせている。近年では次世代型路面電車(ライトレール)の登場で、都市交通としての良さが改めて見直され、コンパクトシティ構想にライトレールを組み込む富山市などは、その最先端事例として、SDGsと公共交通機関との関係を語る上で欠かせない存在になっている。さらに、宇都宮のように新たに路面電車を誕生させようという動きも出始めてきた。

万葉線・ドラえもんトラム(富山県高岡市)

強かに生き続ける路面電車

 路面電車の利用を促進することはSDG7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」や、SDG11「住み続けられるまちづくりを」、SDG13「気候変動に具体的な対策を」に直結することは明白だろう。そのことを詳しく紹介している文献はたくさんあるので、その辺りはそちらに譲ることとして、ここではSDGsにも貢献できる全国の興味深い路面電車事情を紹介したい。

 例えば、九州の鹿児島市電は、軌道の芝生緑地化を進めており、景観の向上と騒音の低下やヒートアイランド現象の軽減に一役買っているそうだ。これはSDG11とSDG13により深く関係している取り組みといえそうだ。ちなみに、延びた芝生を刈るために、芝刈り専用の電車(装置)というのもある。

 東京を走る東急電鉄世田谷線では、日本で最初に再生可能エネルギー由来100%の電力で電車を走らせ始めた。路面電車という規模だから実現しやすいとも言えるが、SDGs7やSDGs13をさらに推し進める画期的なものであり、どんどん追従していってほしいと思う。

 全国の路面電車の中には大正や明治に製造されたものも現役で走っていて、昭和に造られた車両なんてザラ。製造当時のスタイルを色濃く残しているもの、「車体更新」と言って、台枠や台車、電気機器などを流用して車体だけ新しく造った、見せかけは新車風のもの、中には昔のスタイルに復元している車両もあったりするので、かなりややこしい。

 また、路線の廃止などで車両の譲渡も盛んに行われているため、例えば広島では、京都市電や大阪市電が当時のままに走っていたりする。かつて乗った経験を持っている方は、涙が出るほど感動するかもしれない。

万葉線(富山県高岡市)

路面電車界を襲った冷房化という苦難

 鉄道やバスに冷房車が登場するようになると、路面電車の冷房化も必須となってくる。特に夏の気温が高い熊本や鹿児島、高知などではそれは優先度の高いミッションとなった。特に鹿児島では火山灰によって窓を開けられないこともあるので深刻だった。

 路面電車に限らず、屋根の上に大きな箱状の物が載っているのを見かけたことがおありだろう。それが冷房装置だ。これを屋根に取り付ければ冷房化できるかというと、話はそう簡単ではない。このような大きな装置を取り付けることを前提に設計されていない古い車両の場合、これを取り付けるために車体の強度を補強する工事が必要となる。この工事には莫大な費用がかかるため、補強工事に資金を投入するのであればボディーだけでも新しくしようということで、「車体更新」が盛んに行われた。上述の複雑な事情は逼迫した経営状態での苦肉の策ともいえる。

 余談だが、冷房化工事の費用をできるだけ抑えられないかと思案した高知のとさでんには、家庭用のエアコンを2台装備した電車が走っていて、市民の間からは「霧ヶ峰号」と呼ばれているとか。屋根の上には、どこの家庭にもある室外機が2台乗っかっている姿はユニーク。肝心の冷房の効きは今ひとつらしいが、それでも無いよりはマシだろう。

高岡出身の作曲家・室崎琴月の代表作「夕日」のモニュメントと万葉線

物を大切に使う心を育む存在

 話が逸れたが、このように大切に物を使い続けて、そのための技術も蓄積しつつ、さらに廃車によって出る大量の廃棄物を削減していることは、SDG12「つくる責任 つかう責任」に当てはまる。これだけ古いものを維持し、そして使う(運転する)ことは大変な苦労を伴うが、「使い捨て」から「使い続ける」スタイルへと変化が求められるこれからの社会では、「物を大切に使う」というスピリッツを伝えることは重要だ。

 また、車両の中には海外へ譲渡されているものもあって、この場合、途上国の発展に寄与している側面もプラスされる。このあたりはSDGsでは1〜4、8〜10あたりに貢献することになるだろう。

 このように、路面電車は、その車両がたどってきた歴史、つまり「車歴」をひもといていくと実に面白い。「車齢」では60代、70代なんて言うのもザラなので、私のような中高年にとっては、「まだまだ頑張れる!」と勇気づけてくれる存在でもある。そして、これだけ長い間走っていると、いろいろなことを経験している車両もたくさんある。

福井鉄道(福井県福井市)

路面電車は平和の尊さを物語る生き証人

 特筆すべきは広島の広電だろう。ここには原爆で被爆した電車が今も現役で走っている。そして、原爆が投下された毎年8月6日の8時15分には、原爆ドーム前電停に必ずこの電車が到着するようにダイヤが組まれている。また、大阪大空襲で被災した電車も広島で活躍していて、広電では平和の尊さを伝えるシンボルとしても路面電車を位置付けている。SDG16「平和と公正をすべての人に」を強く意識させてくれる。

 ただし、古い車両を使うことは、省エネやバリアフリー化という点では、マイナスとなる部分もある。この点では省エネでかつバリアフリー化を実現している超低床車両(LRT)の導入促進が求められる。しかし、すべての車両を置き換えるのではなく、古い車両も現役で活躍しつづけられるシーンもぜひとも残してほしい。「使い続ける」ことの大切さを伝えるだけでなく、その歴史を伝えることも重要だからだ。もちろん、観光的にも魅力があり、地域の発展に寄与できる。古い街並みを駆け抜けるレトロな路面電車に旅情をそそられる人は少なくないはずだ。

富山地方地方鉄道市内線(富山県富山市)

SDGsは目的を狭めてみると、自分ごととなってわかりやすくなる

 SDGsとは「とっつきにくい」、「わかりにくい」という声もよく聞く。私自身もうまく説明できないことは非常に多い。しかし、この路面電車のように、興味がある身近な対称を当てはめてみると意外とわかりやすくなり、そして自分ごととなって、2030年に向け、自分は何をするのがいいかも見えてくる。

 もし、路面電車がお嫌いでなければ、このような視点から見直してもらうと、路面電車がきっと好きになって、しかも自然とSDGsが身近になると思うので、ぜひ試してみて欲しい。

写真と文若井 憲 Ken Wakai
フリーで編集・ライター・カメラマンを兼務。得意ジャンルは旅行と文化。金沢市在住で北陸地方なら、得意ジャンル以外も実績は多岐にわたる。撮影ができるのも強み
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【ライターの仕事】『旅の手帖』2021.5月号

『旅の手帖』2021年5月号の第一特集「一人で泊まれる絶景露天風呂の宿」で、宇奈月温泉延楽を執筆しました。
露天風呂からは、一幅の絵画を愛でるように、新緑に彩られた黒部川の清流を眺めることができます。秋の紅葉のいいですが、躍動感あふれるこの時期、清々しい気分になれます。

特集では他にも、海と山に分けて、一人客歓迎の絶景が楽しめる露天風呂を大特集。コロナが収まってきたら真っ先に行きたい宿を探してみてはいかがでしょうか?

第二特集「なんだかすごい!ミュージアム」では、福井県立恐竜博物館が、また「ご当地スーパー劇場」という連載では、富山市のアップルサンショウ新根塚町店が取り上げられています。このスーパーの話、言われてみるとなるほどなと思わず、富山独特の食文化のことが紹介されいます。

なかなか旅行に行けない今、旅行雑誌を読み耽って、旅行気分に浸るのも悪くないです。ページを捲るたびに、行きたいところが増えていくのはちょっと厄介ですけど、笑。

ちなみに現在、富士山マガジンサービスでは、定期購読すると50%オフとなるキャンペーンも実施しているみたいです。

https://www.fujisan.co.jp/product/1576/new/

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「春ららら市」ありがとうございました♪

「春ららら市」無事終了しました。

2日間たくさんの方々にご来場いただきました。

一日目は完璧な快晴〜絶好の花見日和
桜の花びらが〜遊びに来ました。
二日目は全力の雨で、雨でもららら〜となりした

嬉しい〜楽しい〜2日間

ありがとうございました!

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今週末は「春ららら市」〜♪

いよいよ今週末は、「春ららら市」です!

しいのき緑地の②です〜

初出店です!!!

ワクワクが止まりませんーーー

豆本ピアス(イヤリング)は、革と能登上布の表紙です。
人気の豆本キットは、春らしい花柄も♪
おいしいもの図鑑

お天気晴れてほしいな〜

お花見しながら、お待ちしております♪

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豆本ブローチ「杏つ子」

室生犀星記念館のオリジナルグッズに豆本ブローチ「杏つ子」が仲間入り!

本文もあります。
〜ミュージアムショップにて絶賛販売中〜

現在開催の企画展「美しい本 山口蓬春」に合わせての発売です。

ぜひ!美しい本を見に、訪ねてみてください〜♪

他にも新発売のオリジナルグッズがありますよ!

詳しくは、室生犀星記念館のhpをご覧ください。

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「はなまるクラフトフェア」ありがとうございました。

たくさんの方々とお話しできてー

たくさんの刺激もらってー

とっても楽しい2日間でした!

ありがとうございました。

はなまるクラフトフェアはこの後も、2期・3期と開催は続きます!出展者をご確認ください。

そして次回のイベントは

4月3(土)・4日(日)

地元金沢!

「春ららら市」です〜♪

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今週末は「はなまるクラフトフェア」に出展します。

明日から富山市民プラザで開催されます「はなまるクラフトフェア」の第1期3月20日(土)21日(日)に出展します。

お家時間押しの、豆本キットや豆本付きしおりなどいろいろと揃えて行きます!

昭和レトロ柄登場!ポップな豆本はいかがですか~♪
豆本付きしおり 読書好きの方に~
キノコ柄のノートカバー

他にもいろいろと揃えて行きます!

新型コロナウイルス感染対策をしながらの開催です。

詳しくは、富山市民プラザのHP をご覧ください。

また出展者情報は、同FBページをご覧ください。

お越しをお待ちしております~♪

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【ライターの仕事】『旅の手帖』4月号

『旅の手帖』2021.4月号では、巻頭トピックス「ハイカラな港町で歴史と春を感じる散策を」で福井県敦賀市を2ページで紹介しました。

敦賀赤レンガ倉庫や春は花換まつりが行われる金崎宮など、この春に出かけてみたい敦賀の名所案内をしました。

この号の特集は「近場で春のひとり旅」と「旅名人のカバンの中」。

なかなか自由に旅に出られない今は、近所でひとり旅を楽しみ、旅のプロの旅行術を学んで、旅に行けるようになる時に備えたいですね。

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【ライター&カメラマンの仕事】旅の手帖2021.3月号

『旅の手帖』3月号では第一特集「路面電車で町遊び」の万葉線の取材を担当。今回も撮影まで行いました。

ブラックラーメン、ここのはしょっぱくなくておいしかった。揚げたてのコロッケを入れて食べるとさらにおいしい!
おりんの奏でるメロディーは生で聴くとほんと鳥肌が立ちます。ぜひ、ショールームに行って聴いて欲しいです。

実はこれ、取材が年末だったんですけど、寒波の到来で大雪の予報が出ていたため、慌てつつも、ギリギリセーフで雪が降る前に撮影を終えることができました。3月号で大雪の写真ではシャレになりませんでしたから。

長崎、函館、広島、松山・・・、路面電車が走っている町って、どこかエキゾチックな雰囲気が感じられます。『旅の手帖』見てたら旅に行きたくなりました。

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