2024年のふりかえり

今年も一年、ありがとうございました。

元日の能登半島地震で大変な一年となってしまいました。

遠く離れた川崎に住み、地震に影響を心配してくれた母親が5月に逝去しました。
生前、ずっと私の仕事のことを心配してくれていた母親が、空の上から仕事を手配してくれたのでしょう、新規の取引先や久しぶりに復活していただいたクライアントも何社かあって、おかさまで目まぐるしく過ぎた一年でもあります。
取引先の数だけ、仕事の進め方があり、その数が増えれば混乱することもありますが、学ぶことがとても多く、いい刺激をいただいています。

今年はフォトグラファーとしての足場を固めたいと考えていましたが、撮影をメインとした仕事も着実に増えて、表紙を飾るなど、実力をアピールできる実績を少しずつですが積み重ねることもできました。

年齢を重ねていくと、ライターとフォトグラファーを兼務するフォトライターを続けるのはだんだんキツくなってくることを見越し(まだしばらくは大丈夫ですが)、プロのライターとして、そしてプロのフォトグラファーとして、個別の仕事をもっといただけるように、よりそれぞれの技を磨いていきたい、そんなふうに考えています。

ライターを専業としてやっていくのが難しい世の中になってきていることをひしひしと感じる昨今、「プロに頼んでよかった」と思っていただけるよう、お受けした仕事は全うしていくつもりです。

そして、能登半島。

私が石川県に移住を決めた大きな要因だったのは能登が大好きだから。情報発信をすることで少しでも能登の復興の一助になればと思い、これからも能登を応援していきます。

今年はファンだった著名人も何人かが亡くなってしまいました。思えば、自分の音楽アプリのライブラリーは故人がだいぶ増えたなぁと、歳を重ねるってそういうことでもあるのかなと、しみじみ感じています。

喪中につき、新年の挨拶は遠慮させていただきます。

では、みなさん、来年は「まずは今年以上にいい年にする」ことを目標にがんばりましょう。

良いお年をお迎えください。

(写真は地震の影響も心配されましたが、見事に咲いてくれた能登鹿島駅の桜)

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【ライターの仕事】『家の光』11月号で金沢特集を担当しました

『家の光』11月号では「秋です、旅に出よう。」を特集。
旅先のメインは金沢!そのうち「金沢のじわもん満喫旅」の5ページと、編集部に提案して実現した「旅して能登を応援」の2ページのライティングを担当しました。
能登は先日の豪雨で場所によって、場所によっては足踏み状態のところもありますが、前進していくためには、こうやって影響力のある雑誌で観光を紹介していただけるのはありがたいです。
ちなみに、『家の光』はJAグループが発行する月刊誌で、書店ではなく、JAの直売所で売ってます!
発行部数は一般雑誌では日本屈指というすごい雑誌でもあります。


詳細は下記で!
https://www.ienohikari.net/press/hikari/detail/53


ぜひご覧ください!

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【フォトライターの仕事】『北陸デスティネーションキャンペーンガイドブック』を担当

『JR時刻表』の交通新聞社が発行する月刊『旅の手帖』。
9月10日に発売となった、10月号には『【特別付録】北陸デスティネーションキャンペーンガイドブック』が付いてきます。
付録といっても約100ページもあって、そのうちの30ページほどを担当しました。

さすがに全部取材というわけにはいきませんでしたが、伝統工芸の特集ページをはじめ、気になっていたところや新しくオープンしたところなど、時間がある限りは、現地にも足を運びましたよ。

本誌(A4変形判)よりも一回り小さいB5判です。

表1(表紙)の福井県立恐竜博物館と輪島塗の写真も自分のものです。

表4(裏表紙)の広告、北陸人にはたまらない〜〜。

せっかくなので、ボツカットからいくつかさわりだけ紹介しますね。

こんなすごい光景が見られるところが福井県にあるって知っていましたか?
なんか、男性アイドルグループのPVで撮影されたとかで、若い女性がたくさん来ています!

福井県は伝統工芸の宝庫。いろいろありますよね。今、旬なのは大河ドラマでも登場してたコレでしょう。

金沢おでんの老舗も。取材の時は夏真っ盛りでしたが、この夏は新幹線開業効果で大忙しだそうです。

震災の爪痕が残る輪島塗会館で。輪島塗の加飾には「蒔絵」と「沈金」がありますが、その見分け方ってご存知ですか? 答えはぜひ輪島でお聞きください!

デコ盛って言う伝統技法で作られた九谷焼の「ひゃくまんさん」。

井波彫刻といえば欄間! 3次元的に、しかも見えげた角度で一番よく見えるように作られる欄間は彫刻の中でも最上級の難しさだとか。今は作っている彫刻師も少ないそうです。

ちなみに、本誌の方でも「能登から伝えたいこと」を連載中です!

気になった方は、ぜひ書店でお買い求めを!
旅の手帖10月号
https://san-tatsu.jp/tabite/articles/339340/

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祝! 北陸新幹線敦賀延伸 金沢でお花見〜人気スポットから穴場までおすすめ26選〜

金沢やその周辺でお花見をするなら何処?
旅行雑誌やWEBで北陸の桜を紹介している
金沢在住で自称「桜オヤジ」のフォトライターが、
おすすめのお花見スポットをピックアップします。
この春、北陸新幹線敦賀開業で注目を集める金沢。
観光でいらっしゃる方もぜひ、お楽しみください。

兼六園(金沢市兼六町)

四季折々の美しさがある兼六園だが、桜が満開の頃はやっぱり格別。ソメイヨシノは言うに及ばず、桜の種類が多いことでも知られる。兼六園熊谷、旭桜、兼六園菊桜など、4月下旬まで桜の花見が楽しめる。ソメイヨシノ開花時期に行うライトアップも必見。日本さくら名所100選。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

金沢城公園(金沢市丸の内)

金沢城公園の桜といえば、ライトアップされるとお堀の水面に桜が映ってとっても幻想的な内堀の桜並木が人気。また、国の重要文化財の石川門とのツーショットも定番。石川門を見上げる芝生広場(百間堀園地)は例年、花見客で一杯になる。そのほか、兼六園の桜が一望できる丑寅櫓跡もおすすめ。

なお、城内の新丸広場にはさまざまな種類の桜の木が植えられていて、ここは飲食もOK。意外と知られていない、穴場のお花見スポットだ。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

浅野川・梅ノ橋周辺(金沢市東山ほか)

金沢には、浅野川と犀川という2つの大きな川が流れており、浅野川を女川、犀川を男川とも呼ぶ。そこはかとなくはんなりとした雰囲気が感じられる浅野川は、浅野川大橋の上流と下流に桜の並木が続く。
ユーミンの「花紀行」という曲は、この辺りの桜をモチーフに書かれた曲とか。ただ、そもそも「花紀行」を知らない人が多いので、ややマニアックな話題かも。
上流の梅ノ橋周辺は、木造風の絵になる橋と桜、大正ロマンを感じる国登録有形文化財の浅野川大橋と桜の競演が美しい。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

浅野川・主計町茶屋街(金沢市主計町)

浅野川大橋を挟んで下流側・主計町(かずえまち)では、陽が落ちるとガス灯とぼんぼりの灯りに桜の花が照らし出されて、妖艶なムード。浅野川大橋寄りの桜の木が1本、病気になってしまい、今は小さな苗木に植え変わっている。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

犀川・桜橋周辺(金沢市中川除町ほか)

男川の別名がある犀川。犀川大橋から上流の桜橋にかけては金沢出身の文豪・室生犀星が愛した散歩道で「犀星のみち」と呼ばれており、または両岸に見事な桜並木が続く。桜橋のすぐ近くにある桜坂の途中からは、犀川河畔の桜並木を見下ろすことができる。観光客の多い浅野川とは対照的に、こちらは桜を眺めながらジョギングや散歩するなど、市民の憩いの場という色合いが濃い。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

犀川緑地(金沢市法島町)

犀川は河口から上流の大桑地区までの河川敷が公園として整備されていて、「いしかわ子ども交流センター」がある法島地区には堤防上に見事な桜並木が続く。雪をいただく山々を望む広い河川敷や桜の花に包まれる児童公園、静かな散策道もあり、バリエーション豊富な花見が楽しめる。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

慶恩寺しだれ桜(金沢市石引2-5-30)

小立野寺院群にある真宗大谷派の寺院。昭和18年(1943)に植えられたシダレザクラは樹高16m、幹回2.5m、枝巾12mで見事。

例年の見頃(シダレザクラ):4月上旬

二十人坂(金沢市石引2)

慶恩寺から歩いていけるここは知る人ぞ知る桜の名所。藩政時代、足軽二十人組が住んでいたことからこの名がついた。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

卯辰山四百年の森(金沢市末広町)

前田利家の金沢入城400年を記念して昭和57年に作られた。約250本の桜が植栽され、谷一面が桜色に染まる。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

卯辰山見晴らし台(金沢市東御影町)

浅野川上流部や金沢城や金沢駅周辺、日本海まで見渡せる展望芝生広場。春は桜越しに雪をいただく県境の山々やまちなかを望むことができる。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

望湖台(金沢市末広町)

卯辰山公園内にある標高141mの望湖台からは、桜越しに金沢の中心部のまちなみや日本海を一望できる。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

眺望の丘(金沢市末広町)

2019年3月に整備された卯辰山公園内にある眺めの良い広場。北陸新幹線と桜を一緒に撮影でき、日本海も一望。初夏には3,000株のアジサイが咲き乱れ、これも見逃せない。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

奥卯辰山健民公園(金沢市若松町エ85)

卯辰山の南東にある奥卯辰山健民公園は、ゴルフ場の跡地を整備したもの。広大な芝生広場やデイキャンプ場、木の香りがする交流館、大型複合遊具があるわんぱく広場、ベルギー庭園などがある。
有料でバーベキューやパークゴルフも楽しめ、アウトドアを楽しむ市民でいつも賑わう。「さくら広場」は、若木が多いようで、桜の木は全体的に小ぶりだが、一面に広がる桜は壮観。伸びやかな丘に並ぶ桜並木は、とても絵になる。広いので密になりにくく、のんびりお花見が楽しめる。
大池では人気者のコブハクチョウが、桜が咲く池畔を優雅に泳ぐ姿も見られる。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

大乗寺丘陵公園(金沢市長坂町・山科町)

お花見広場や主園路沿いに、ソメイヨシノやヤマザクラが約160本植えられ、桜の花越しに金沢市街地や日本海を望むことができる。ワシントンから里帰りした高峰譲吉博士ゆかりの桜も。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

金沢市営陸上競技場(金沢市弥生3-5-1)

金沢市民でも知らない人が多い穴場のお花見名所。約110本の桜が競技場を囲むように咲き誇り、開花に合わせて競技場内を無料で開放する。芝生のスタンドがあり、アルコール類の持ち込みは不可だが、飲食は可能。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

高尾城址見晴らし台(金沢市高尾町)

石川県教員総合研修センター近くにある高尾城址。丘一面に桜が植えられて、その様子は麓からもよく見える。駐車場から300段ほどの階段を登れば、「高尾城址見晴らし台」に到着。桜越しに金沢市街や日本海まで一望できる大パノラマは壮観だ。夜景スポットとしても知られているが、夜、ここを登るのはなかなか勇気がいりそうだ。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

石川県庁(金沢市鞍月1-1)

石川県庁舎前の駐車場には八重桜の並木があり、楊貴妃や関山、普賢象などが競うように咲き誇っている。八重桜の見頃はソメイヨシノよりも1〜2週間後。

例年の見頃(八重桜):4月中旬

末浄水場(金沢市末町1-1)

国指定名勝の園地や登録有形文化財の建屋などがあり、モダンでレトロな浄水場。前庭までは予約不要で見学可能(水道施設の見学は完全予約制)。コロナ禍前は桜の開花に合わせて、場内の公開も行っていたが、今年は不明。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

松月寺のサクラ(金沢市寺町5-5-22)

重要伝統的建造物群保存地区にも選定された金沢市寺町の松月寺にあり、境内から寺町通りに覆いかぶさるように枝を広げた見事なショウゲツジザクラ。あまり知られていないが、北陸では唯一、国の天然記念物に指定されている大変貴重な桜で、推定樹齢は400年。大桜、御殿桜とも呼ばれる。ヤマザクラの系統とみられ、見ごろはソメイヨシノよりほんの少しだけ遅い

例年の見頃(ショウゲツジザクラ):4月上旬

倶利伽羅公園(河北郡津幡町字倶利伽羅)

富山県と石川県の県境をまたぎ、約6,000本の八重桜が植えられている。「昭和の花咲かじいさん」と呼ばれた高岡市の高木勝己氏が20年以上にわたって3,000本ほどの八重桜を植栽したのが始まり。
毎年、桜が見ごろを迎える4月下旬〜5月上旬には、「倶利迦羅さん 八重桜まつり」が開催され、名物の「念仏赤餅」が販売される。

例年の見頃(八重桜):4月下旬

石川県農林総合研究センター林業試験場樹木公園(白山市三宮町ホ1)

石川県民にはよく知られた県内屈指のお花見スポット。北陸でおそらく一番たくさんの種類の桜が見られる公園で、その種類は150とも。お花見ができる期間も非常に長く、3月中旬には早咲きのキンキマメザクラなどが咲き始め、4月に入るとソメイヨシノとヤマザクラが咲き乱れ、4月下旬にはピンポン球のような花のケンロクエンキクザクラや、薄緑の花が咲くギョイコウなど、珍しい桜に合える。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月中旬

蝶屋桜の名所(白山市西米光町)

50本ほどの河津桜があり、地域住民によって手入れがされている。一足早く春爛漫の気分を味わえ、夜間ライトアップも行う。

例年の見頃(カワヅザクラ):3月中旬

手取峡谷(白山市吉野)

手取川が刻んだ峡谷沿いに桜並木がある。世界ジオパークに認定された白山手取川ジオパークを代表する峡谷。

例年の見頃:4月中旬

根上山(能美市根上町)

「根上松」がある根上山は源平古戦場跡で能美市指定文化財。山の頂上には白山遥拝所跡もある。ここには7種類約150本の桜が植えられ、早咲きの「大漁桜」が一足早く桜シーズンの到来を伝える。
大漁桜は、静岡県熱海市で誕生した園芸種で、淡い紅色の花が桜鯛を想像させ、その漁の時期とも重なることからこの名前がついたそうだ。桜餅の葉っぱに使われることで知られるオオシマザクラの系統ということで、近づくと桜餅のような香りもほのかに漂う。
ここにはメジロやヒヨドリが蜜を求めてたくさんやってきていた。

例年の見頃(タイリョウザクラ):3月下旬

桜づつみ(能美郡川北町壱ツ屋)

手取川にかかる辰口橋のたもと、堤防上に約950メートル、ソメイヨシノ206本と枝垂れ桜3本の桜並木がある。堤防上の道は車で走ることができる。よく晴れた日は桜の木越しに白山連峰を望むこともできる。開花期間中はライトアップも。

例年の見頃(ソメイヨシノ):4月上旬

母恋千本桜(河北郡内灘町など)

「花見がしたい」という、金沢医大に入院していた余命いくばくもない母の願いを叶えたいと願い、その思いがたくさんの人の心を動かして、内灘町、金沢市、津幡町にまたがる1500本、4.5kmの桜並木ができあがった。※能登半島地震の影響で道路が通行止めの可能性あり。
例年の見頃:4月上旬

◉Coming soonの桜(近々撮影に行く候補)

・伏見川流域(金沢市)
・弥生さくら公園(金沢市) など

筆者が書いた「北陸の桜」の記事は他にもあります。

祝! 北陸新幹線敦賀開業 福井の桜名所 〜人気スポットから穴場まで、2024年のお花見〜

【富山・石川・福井】北陸の桜名所図鑑・完結編! ベスト10+おすすめ48選 地元の桜ツウが教える北陸の桜名所・全58カ所!祝! 北陸新幹線敦賀開業 福井の桜名所 〜人気スポットから穴場まで、2024年のお花見〜

【富山・石川】北陸の桜名所図鑑 2022年に一気にめぐってきた編〜2023年の花見スポット探しに使える! 穴場スポット情報も〜

【富山・石川・福井】北陸の桜名所図鑑 2021年に一気にめぐってきた編

ここに掲載した写真は全て著者が撮影しました(無許可転載を禁じます)

写真と文若井 憲 Ken Wakai
フリーで編集・ライター・カメラマンを兼務。得意ジャンルは旅行と文化。金沢市在住で北陸地方なら、得意ジャンル以外も実績は多岐にわたる。撮影ができるのも強み
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【ライターの仕事】ミツカン水の文化センター機関誌『水の文化』第76号で福井のそばを執筆

『水の文化』は、水をテーマにした社会貢献活動を行っているミツカンの機関誌で、毎号さまざまな切り口から水の大切さを伝えてくれます。

76号では「そばと水」を特集しており、その中で、福井県のそばがなぜおいしいのかを余すところなく紹介しました。

水の良さ、そばの栽培に適した環境はもちろんですが、それだけではないんですよね。歴史、文化、そして継承されてきた技、地域のやる気等々、さまざまな要素が相まって、今では「日本一おいしい!」そばの産地として不動の地位を築いています。

特集記事はWEBで公開されておりますので、ぜひお読みください。
https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no76/04.html

この特集とは関係ありませんが、せっかくなのでおすすめの福井のそば店の情報も。

私自身、そんなにたくさんの店を食べ歩いたわけではなく、「失敗した!」という店に入ったこともほとんどありません。そんな中でも、ここのおろしそばは特においしかったという、とっておきの3店を紹介しましょう。

1軒目は、越前市にある「そば蔵 谷川」です。

丸岡在来のそばを石臼で自家製粉し、機械挽きだけでなく、手回し石臼挽きの粉を使ったものもあり、メニューはそば粉と井戸水だけを使った十割そばのみ。写真はおろしそば(手臼粗挽麺)で、噛めばそばの風味が口いっぱいに広がります。この味わいはこの店だけでしか出合えない気がします。だいこんは3種類をブレンドし、注文を聞いてから大根をおろし、鰹節を削るという気遣いも素敵。

2軒目は、越前市にある「御清水庵」です。

武生駅からすぐのところにある店。食器洗い以外はすべて隣に湧き出ている清水(湧水)を使用。勝山、大野、福井市産のそば粉をブレンドして使い、喉越しがよく、風味があり、しかもコシが強い外一そば。大根は辛味大根と普通の大根をブレンドして、やや辛みが強いです。サービスのきな粉がたっぷりかかったきび団子も美味。

3軒目は、坂井市にある「たけのうち」です。

一見、普通の日用雑貨を売る家庭用品の店ですが、日用品が並ぶ店内の奥に、カウンターとテーブルがあります。実はこの店、おそば屋さんも兼業していて、丸岡産のそば粉を使い、コシもあって風味も良い二八の手打ちそばが食べられます。まずは小皿にのった岩塩をまぶしたそばを食して、そばの味を確かめます。大根おろしや薬味、削り節は、自分でのせて食べる方式。削り節の香りが食欲をそそります。三国神社のすぐそば。知る人ぞ知る隠れた名店だと思います。

ぜひ、北陸新幹線に乗って、絶品のおろしそばを食べにきてください。

ちなみに、『水の文化』76号では手取川も紹介されています。https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no76/15.html

写真と文若井 憲 Ken Wakai
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【フォトライターの仕事】旅の手帖2024年3月号で福井市の足羽川桜並木を紹介しました

『JR時刻表』の交通新聞社が発行する月刊『旅の手帖』。
その2024年3月号では「桜前線を追いかけて」を特集しています。
北陸では福井県福井市の足羽川桜並木を中心に、福井市内の桜を取り上げ、取材・撮影は私が担当しました。

延々と続く桜のトンネルが見事な足羽川桜並木

福井市は昭和20年代に空襲と震災、さらに水害という三重苦に見舞われました。そこから立ちあがろうと、足羽川の堤防にはたくさんの桜の苗木が植えられました。それが現在の桜並木のルーツです。
福井といえば「フェニックス」、つまり不死鳥がシンボルになっていますが、それは三度立ち上がった福井市民を象徴しているといえます。そして足羽桜並木の桜の成長とともに、福井の街は発展してきました。

そんな歴史があるから、この桜並木は福井市民にとっては特別な存在なのです。

桜とぼんぼり、そして水仙が競演

足羽川桜並木を次の世代に引き継ぐために世話を続ける「ふくい桜守の会」と、花の時期に合わせて、桜並木に中学生らが詠んだ独楽吟をあしらったぼんぼりを吊る活動をしている「足羽川ぼんぼり物語実行委員会」をメインに、足羽山の足羽神社のシダレザクラも取材しました。

ドーム状になり、美しい足羽神社のシダレザクラ

足羽山名物の木の芽でんがくとこんにゃくおでん、おいしかったです。
足羽山に花見に行ったら食べる定番だそうです。
(桜のシーズン以外にも食べられます)

足羽山の茶屋の名物「木の芽でんがく」(写真は中村屋)
これもまた名物の「こんにゃくおでん」。福井でしか食べられていない地がらしの辛味がクセになる(中村屋)
福井城もライトアップされる。こちらは訪れる人も少なく、穴場

昨シーズンに撮り下ろしていた未発表写真も惜しげもなくふんだんに使い、4ページというボリュームで福井の桜を掘り下げています。

福井市内のさくら通りも両側に桜並木が続く

現在、全国の書店で発売中です!

ぜひ、ご覧ください。

旅の手帖3月号
https://san-tatsu.jp/tabite/293649/

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金沢を代表する観光名所の兼六園をマニアックに攻めてみよう【第5回 唐崎松編】

兼六園を代表する松といえば、根上松とこの唐崎松でしょうね。

唐崎松は、樹齢約180年のクロマツで、13代藩主の斉泰が、琵琶湖を模して霞ヶ池を現在の大きさに拡張した際に、琵琶湖畔にある唐崎神社から種を取り寄せたもの。琵琶湖にこだわった藩主の想いがうかがいしれます。

水面に枝を伸ばした姿は鶴が羽ばたくように見えます

雪吊りが施された姿は、北陸の冬を象徴する景観と言っても過言ではないでしょう。

雪吊りされた松は離れたところから見ると一つに見えますが、実は唐崎松(左)と玩月松(がんげつのまつ)の2本の松からなっています。
風がない日は霞ヶ池に雪吊りが映って美しい

北陸地方特有の湿気を含んだ重たい雪から枝を守るために雪吊りが行われますが、その方法にはいくつかあり、この松は「りんご吊り」と呼ばれる方法で、最大高さ約14メートルの5本の芯柱を立て、約800本の藁縄で枝を吊ります。放射状に張られた藁縄がとても美しく、それを図案化したものが金沢のご当地ナンバープレートにもなっています。雪吊りする際、庭師はこの芯柱によじのぼり、先端から縄を投げるという、凄技を間近で眺めることもできます。

毎年11月1日から始まる雪吊り作業

ちなみに、なぜ「りんご吊り」かと言えば、りんごの木が実の重さで枝が折れないようにしたことが由来ですが、江戸時代の加賀藩はりんごの産地として有名で、長町武家屋敷や香林坊のあたりにはりんご畑が広がっていたとか。そこで行われていた「りんご吊り」が、庭木の雪吊りの呼び名にもなったのではないかという説があります。

過去に一度だけ行われた漆黒のライトアップ。ご覧の通り、真っ暗な唐崎松が見られた。でもあまり評判が良くなかったのか、以来このバージョンのライトアップは行われていない
冬の段では暖色系のライトアップが行われ、黄金色に輝く

晩秋や冬に、期間限定で夜間ライトアップが行われますが、暗闇に浮かび上がる雪吊りされた唐崎松の姿は、その美しさが際立ちます。毎年、11月1日からこの唐崎松を皮切りに雪吊りが始まり、1ヵ月半をかけて園内の約800カ所に施されます。一方、取り外しは3月15日頃から始まり、こちらはわずか1週間で完了します。雪吊りに使用された藁縄は、外された後は細かく裁断されて、堆肥として再利用されているそうで、循環型の取り組みがされています。

秋の段のライトアップは紅葉とのコラボが楽しめる
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兼六園の記事をもっと読む

【フォトライターの仕事】『旅の手帖』11月号の第2特集「刀剣の世界」で、五箇伝の一つ、岐阜県関市の日本刀を取材・執筆しました

正直言って、日本刀にはあまり関心がなかった私。いやむしろ、「日本刀って武器でしょ」と思って、刀の尖った先端を見るとゾクゾクしてきて(よくない方の意味です)、どちらかと言えば、避けていました。

それでも取材を進めていくうち、日本刀って武器であることには変わりありませんが、日本人にとっては、心の拠りどころとでも申しましょうか、言葉で表すのは難しいのですが、心の奥底と共鳴し合う何かがあるということを知り、しかも、そのアンテナが自分にも備わっていることに気がつきました。

関観光の拠点となる「せきてらす」の前には日本刀をモチーフにしたオブジェが

そうなるともう、一気に日本刀へ興味が溢れ出してきて、一振り欲しくなるのはもちろん(高くて買えない、汗)、全国各地にある名刀を展示している美術館や博物館をめぐってみたくなりました。新たな旅の目的を見事開花した次第です。

世界に名だたる刃物のまちらしいカミソリのオブジェ

一見マニアックなネタを、しっかり旅行の楽しみへと昇華させている『旅の手帖』はやっぱすごい。この特集、ファインプレーだと思います。

カラフルなラッピングが目を引く長良川鉄道

旅の新たなネタをお探し中の方、この特集は必見です!ちなみに、美濃では南北朝の頃から日本刀を大量生産すべくシステマチックな生産体制を構築していました。そのスピリッツは刃物のまち・関にしっかり受け継がれ、今では世界三大刃物のまちになりました。

石川県小松市の田園地帯に、ラピュタのような風景が

小松市の里山には、まさしくそんな風景が点在しているのをご存知でしょうか?

小松市滝ヶ原町は、江戸時代から現在も、緑色凝灰岩(グリーンタフ)の滝ヶ原石を産します。その石は、古くは小松城や金沢城の石垣の一部や、また福井地震で倒壊した丸岡城(国の重要文化財)の修復された石瓦も使われ、優れた石材として人気があります。

この滝ヶ原町ののどかな里山風景の中でひときわ目を引くのが、江戸時代から昭和の中頃まで、滝ヶ原石の最盛期を支えた「西山石切り場跡」。ジブリ映画の『ラピュタ』に出てきそうな佇まいですね。崩落の危険があるため、残念ながら近づくことはできませんが、遠くからも採掘の跡がよく見えます。

*名前をクリックするとグーグルMAPが開きます!

西山石切り場跡

また、滝ヶ原で石にまつわる一番の見どころが、「滝ヶ原アーチ型石橋群」めぐり。明治後期から昭和初期に建造されたアーチ型石橋が、町内に5つも残っています。

実は、日本のアーチ型石橋というのは9割以上が九州に集中しているそうで、本州ではこのような石橋群が存在することは大変珍しいのだとか。

5つのうち3つは、欄干が無く、ちょっとスリリング。また、西山橋と大門橋は車でも渡ることができます。下を流れる川の水の美しさにも目を奪われます。

*橋の名前をクリックするとグーグルMAPが開きます!(以下同じ)

東口橋/橋長9メートル、幅員2.5メートル

丸竹橋/橋長14.3メートル、幅員4.2メートル

西山橋/橋長12メートル、幅員3.9メートル

我山橋(がやまばし)/橋長10メートル、幅員2.7メートル

大門橋/橋長11.5メートル、幅員3.2メートル

のどかな里山の風を感じながら、ひっそりとたたずむアーチ型石橋群めぐり。
マニアックですが、なかなか楽しい、小松の穴場です。
ありきたりの観光地に飽きた方におすすめします。

写真と文若井 憲 Ken Wakai
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金沢を代表する観光名所の兼六園をマニアックに攻めてみよう【第3回 徽軫灯籠編】

「徽軫灯籠」と書いて、「ことじとうろう」って読みます。
兼六園と言えば、真っ先に思い浮かべるのがこの灯籠ではないでしょうか。

兼六園を代表する景観。奥に見える建物は内橋亭

「徽軫」は「琴柱」とほぼ同じ意味で、つまりこの灯籠の形が、琴の絃(いと)を支える琴柱に似ているからこの名前がついたそうです。でもなんで難しい漢字を使うのか? その理由は調べても分かりませんでした。

この灯籠、江戸時代の絵図を見ると、脚の長さは左右で同じでした。しかし、明治時代になんらかの理由によって片方の脚が折れ、その後、短い方の脚を石の上に載せてみたら、その絶妙なアンバランスさがむしろ美しく、兼六園のシンボルとなったんだとか。

冬、新雪が積もった朝はひときわ美しい
徽軫灯籠付近ではサギが獲物を探すことが多く、運が良ければこんなカットも
唐崎松越しに見るとこんな感じ。虹橋の上は言わずと知れた撮影スポット

なぜ脚が折れたのか? 通説では、誰でもが入れるようになったため、何者かが壊したとも。実はその時に限らず、この灯籠は今までに何度も倒されたり、壊されたりしたことがあって、現在の灯籠は2代目なのです。そんな波瀾万丈な過去を秘めているとは、知らない人も多いかもしれません。

4月上旬、桜と徽軫灯籠
雪の晴れ間に木々の葉から落ちる雪を入れて撮影
冬のライトアップ。雪吊りされた唐崎松とのコラボが美しい

ちなみに、徽軫灯籠の脇で、彩りを添えているイロハモミジは、2021年に枯れてしまい、2022年に後継の木に植え替えられました。元の木の樹齢は推定120年で、植え替えられた今の木の樹齢は10〜15年ほど。まだまだひよっこですが、少しずつこの風景に馴染み、風格も出てきました。

右の太い幹が先代のイロハモミジ
先代のイロハモミジの紅葉。兼六園の秋を象徴する景観
徽軫灯籠の後ろの若木が今のイロハモミジ
新緑のイロハモミジとツツジの花。イロハモミジもだいぶ風格が出てきた
写真と文若井 憲 Ken Wakai
フリーランスで編集・ライター・カメラマンを兼務。得意ジャンルは旅行と文化。金沢市在住で北陸地方なら、得意ジャンル以外も実績は多岐にわたる。撮影ができるのも強み
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