【ライターの仕事】ミツカン水の文化センター機関誌『水の文化』第76号で福井のそばを執筆

『水の文化』は、水をテーマにした社会貢献活動を行っているミツカンの機関誌で、毎号さまざまな切り口から水の大切さを伝えてくれます。

76号では「そばと水」を特集しており、その中で、福井県のそばがなぜおいしいのかを余すところなく紹介しました。

水の良さ、そばの栽培に適した環境はもちろんですが、それだけではないんですよね。歴史、文化、そして継承されてきた技、地域のやる気等々、さまざまな要素が相まって、今では「日本一おいしい!」そばの産地として不動の地位を築いています。

特集記事はWEBで公開されておりますので、ぜひお読みください。
https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no76/04.html

この特集とは関係ありませんが、せっかくなのでおすすめの福井のそば店の情報も。

私自身、そんなにたくさんの店を食べ歩いたわけではなく、「失敗した!」という店に入ったこともほとんどありません。そんな中でも、ここのおろしそばは特においしかったという、とっておきの3店を紹介しましょう。

1軒目は、越前市にある「そば蔵 谷川」です。

丸岡在来のそばを石臼で自家製粉し、機械挽きだけでなく、手回し石臼挽きの粉を使ったものもあり、メニューはそば粉と井戸水だけを使った十割そばのみ。写真はおろしそば(手臼粗挽麺)で、噛めばそばの風味が口いっぱいに広がります。この味わいはこの店だけでしか出合えない気がします。だいこんは3種類をブレンドし、注文を聞いてから大根をおろし、鰹節を削るという気遣いも素敵。

2軒目は、越前市にある「御清水庵」です。

武生駅からすぐのところにある店。食器洗い以外はすべて隣に湧き出ている清水(湧水)を使用。勝山、大野、福井市産のそば粉をブレンドして使い、喉越しがよく、風味があり、しかもコシが強い外一そば。大根は辛味大根と普通の大根をブレンドして、やや辛みが強いです。サービスのきな粉がたっぷりかかったきび団子も美味。

3軒目は、坂井市にある「たけのうち」です。

一見、普通の日用雑貨を売る家庭用品の店ですが、日用品が並ぶ店内の奥に、カウンターとテーブルがあります。実はこの店、おそば屋さんも兼業していて、丸岡産のそば粉を使い、コシもあって風味も良い二八の手打ちそばが食べられます。まずは小皿にのった岩塩をまぶしたそばを食して、そばの味を確かめます。大根おろしや薬味、削り節は、自分でのせて食べる方式。削り節の香りが食欲をそそります。三国神社のすぐそば。知る人ぞ知る隠れた名店だと思います。

ぜひ、北陸新幹線に乗って、絶品のおろしそばを食べにきてください。

ちなみに、『水の文化』76号では手取川も紹介されています。https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no76/15.html

写真と文若井 憲 Ken Wakai
フリーで編集・ライター・カメラマンを兼務。得意ジャンルは旅行と文化。金沢市在住で北陸地方なら、得意ジャンル以外も実績は多岐にわたる。撮影ができるのも強み
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祝! 北陸新幹線敦賀開業 福井の桜名所 〜人気スポットから穴場まで、2024年のお花見〜

敦賀駅まで延伸した北陸新幹線に乗って福井の桜を見に行こう!
長年、旅行雑誌やWEBで北陸の桜を紹介している
金沢在住のフォトライターが、
福井県内の桜の中から、撮り下ろした
おすすめしたい31カ所をピックアップしました。
今年のお花見はどこへ行こうか? という時に、参考になれば嬉しいです!

【嶺北】

足羽川桜並木(福井市)

足羽川の堤防上に続く、全長約2.2km、600本の桜が続く桜並木は、幹回りの大きなソメイヨシノが多いため、「スケール感で日本一」ともいわれる。福井県で最もポピュラーなお花見スポットであり、そばの足羽山公園とあわせ、日本さくら名所100選に選ばれている。見ごろにあわせて夜間ライトアップが実施され、大いに賑わう。河川敷には露店や川床風の「桜床」も登場する。昭和27年(1952)に開催された「福井復興博覧会」を機に植樹されたもので、復興への思いが込められた桜は、市民らに大切に守られている。
見頃:4月上旬

足羽神社のしだれ桜(福井市)

足羽神社のしだれ桜は樹齢約380年という巨木で、形が整ったドーム型をしている。夜はライトアップされ、暗闇に妖艶な姿が浮かび上がり、幻想的。このしだれ桜をはじめ、足羽山公園は足羽川桜並木とともに、日本さくら名所100選の一つに選ばれている。
見頃:4月上旬

福井城址(福井市)

福井城は家康の次男・結城秀康が入城するために築かれた城で、その本丸と二の丸を設計したのは徳川家康だといわれている。笏谷石の石垣に淡いピンクの桜が映える桜の名所で、開花にあわせて夜はライトアップされ、お堀の水面に桜が映れば、神秘的な美しさ。足羽川桜並木に比べると、花見に訪れる人はやや少なく、静かに花見をするならこちらがおすすめ。福井駅からも近いので、列車の待ち時間とかにちょっと寄ってみるのもあり。
見頃:4月上旬

足羽山 愛宕坂(福井市)

足羽山全体には約3500本の桜があり、足羽川桜並木とともに日本さくら名所100選に選ばれている。足羽山への登山道として開かれた道で、笏谷石の145段の階段が165メートル続く。春と秋には「灯の回廊」が開催され、夜は行灯が点って幻想的。坂の途中を少し入ったところにはライトアップされた桜の木がある。坂を登ったところには愛宕坂の展望台があり、さらに進めば足羽神社がある。
見頃:4月上旬

さくら通り(福井市)

福井市の中心部を東西に走るこの通りは、両側に桜並木が延々と続き、春は桜の花に包まれる。福井市立順化小学校近くの歩道橋からの眺め(写真)がおすすめ。ソメイヨシノの他、八重桜も植えられ、長い間、花見が楽しめる。
見頃:4月上旬

味真野小学校 校庭の桜(越前市)

校庭の桜と聞くと、校庭の隅っこに植えられた桜をイメージされると思うが、ここでは校庭のど真ん中に大きなエドヒガンが1本植っていて、そんな概念を根底から気持ちいいくらいに覆してくれる。推定樹齢140年以上と言われ、樹齢1,000年を超えるものもあるエドヒガンとしては、立派に見えてもまだ若木なのだとか。この桜はこれから先も何百年と、校庭のど真ん中から子どもたちの成長を見守ってくれることだろう。
見頃:4月上旬

花筐公園(越前市)

世阿弥の謡曲「花筐」の舞台として知られる花筐公園(かきょうこうえん)。ここでは約1,000本の桜が咲き誇る。茅葺きの古民家と桜、桜の花越しに眺める町のいらかの波、桜の木の下に広がるカタクリの花など、里山で長閑なお花見気分が味わえる。公園内には福井県天然記念物の淡墨桜がある。
見頃:4月上旬

吉野瀬川(越前市)

吉野瀬川の太田橋から野上橋の間、両岸から枝を伸ばす見事な桜並木。桜の木の密集度が半端ない。
見頃:4月上旬

陶の谷駅跡(丹生郡越前町)

かつてここを走っていた福井鉄道鯖浦線の駅の跡。レールの一部とプラットフォーム、駅名標に往時の面影が漂う。長閑な田園風景を背景に枝ぶりの良い桜が花開く。すぐ近くの法華寺の枝垂れ桜とあわせて訪ねたい。
見頃:見頃:4月上旬〜中旬

法華寺 しだれ桜(丹生郡越前町)

越前町蝉口の法華寺に、樹齢約100年の立派な枝垂れ桜がある。毎年春になると見事な花をつけ、近くの陶の谷駅跡ともに越前町代表する桜名所に。
見頃:4月上旬〜中旬

越前陶芸村・陶芸公園(丹生郡越前町)

しだれ桜やソメイヨシノ、八重桜などが植わり、桜の遊歩道に囲まれた芝生の広場など、広い園内ではお花見ピクニックが楽しい。敷地内には桜の岡本太郎やイサム・ノグチなど、日本を代表する作家のアート作品が置かれ、花見とアート鑑賞が同時にできる。4月中旬には「越前陶芸村しだれ桜まつり」が開催され、全国のクラフト作家が出展する。
見頃:4月上旬〜中旬

切妻屋根群(丹生郡越前町)

農林水産省の「美しい日本のむら景観百選」や福井県の「福井ふるさと百景」にも選定された伝統的な切妻屋根の民家が立ち並ぶ集落。高い台にある宮崎小学校からは、桜並木越しにそんな美しい集落を一望できる。
見頃:4月上旬〜中旬

西山公園(鯖江市)

西山公園といえば、初夏のツツジと園内にある動物園のレッサーパンダが有名。しかし、約1,000本という桜の木があり、園内が華やぐ。なかでもすり鉢状になったお祭り広場の立体的に桜の木が広がる様子は圧巻。
見頃:4月上旬〜中旬

日野川(鯖江市)

西山公園のそばを流れる日野川では、桜並木と菜の花の競演を見ることができる。
見頃:4月上旬〜中旬

えちぜん鉄道永平寺口駅前(永平寺町)

えちぜん鉄道永平寺口駅前には大正時代に建てられた「旧京都電燈古市変電所」(国の登録有形文化財)があり、重厚な赤レンガ造りの建物を背景にして咲く、なかなか立派なソメイヨシノが4本。かつてここにあった幼稚園の園庭にあった桜がそのまま残っている。
見頃:4月上旬

熊野神社(永平寺町)

永平寺口駅から志比堺駅方面へ歩いて5分ほど、小高い丘の上に鎮座する熊野神社の斜面が桜に覆われ、その脇を走るえちぜん鉄道の電車と桜をカメラに収めることができる。
見頃:4月上旬

保田駅(永平寺町)

えちぜん鉄道保田駅の勝山方面には線路脇に桜並木があり、桜と残雪の雪山、ローカル電車を一度にカメラに収めることができる。
見頃:4月上旬

霞ヶ城公園(坂井市)

小高い丘に建つ丸岡城は別名・霞ヶ城と呼ばれ、天守(国指定重要文化財)は、江戸時代以前に建てられた日本に12しか残っていない「現存天守」の1つ。天守の規模はあまり大きくないが、威風堂々とした佇まいは、訪れた人を魅了してやまない。この丘一帯は、霞ヶ城公園と呼ばれ、約400本のソメイヨシノが植えられている。夜はライトアップされて、天守を包むかのように咲き乱れる姿は圧巻。例年、ふもとには露店が並び、花見客で賑わう。日本さくら名所100選にも選定されている。
見頃:4月上旬

竹田の里 しだれ桜(坂井市)

坂井市の山間部にある竹田の里。あたり一帯には700本ものしだれ桜があり、なかでも「たけくらべ広場」は、100本ほどのしだれ桜が咲き競い、まるで桃源郷のよう。普段は静かな山里だが、桜の時期は多くの花見客で賑わう。見ごろに合わせて「竹田の里しだれ桜まつり」が開催され、なかでもその期間中に行われるライトアップはおすすめ。暗闇に浮かび上がる桜の花の帯は、妖艶なムードが漂い、思わず息をのむ美しさ。
見頃:4月下旬

女形谷のサクラ(坂井市)

樹齢400年ともいわれる県下有数のエドヒガンの老樹で、福井県指定天然記念物。
見頃:4月上旬

あらた坂《山室の桜並木》(あわら市)

アニメ『ちはやふる』に登場する桜並木のモデルといわれる並木道。
見頃:4月上旬

【嶺南】

金崎宮(敦賀市)

金崎宮には境内に約400本のソメイヨシノがあり、桜の咲く時期には、願いを込めた桜の小枝を交換する神事「花換まつり」が行われる。もともと金崎宮へ桜見物に訪れた人々が「花換えましょう」と声をかけあい、桜の小枝を交換することで思いを伝えたのが始まりといわれる。
見頃:4月上旬

粟野駅周辺(敦賀市)

JR小浜線のこの駅には、線路脇に数本の桜があり、桜と電車を一緒にカメラに収めることができる。また、駅前には本数は少ないが枝ぶりのいい大きな桜が小さな並木をつくっていて、桜の間からは集落を見下ろすことができる。
見頃:4月上旬

神子の山桜(三方上中郡若狭町)

若狭湾の常神半島にあり、江戸時代に開墾された油桐畑の境に植えられたヤマザクラが、長い年月を経て斜面一帯に増えたもの。ヤマザクラの薄いピンクと芽吹いたばかりの周囲の木々の萌黄色、針葉樹の濃い緑とが重なって、まるでパッチワークのように。海の青と相まって、唯一無二の絶景が広がっている。県指定名勝に指定され、神子の東西約1km、南北200mの区域に広がり、その本数は約300本。数の多さに地元の人は「千本桜」とも呼ぶ。
見頃:3月下旬〜4月上旬

水月湖畔(三方上中郡若狭町)

ラムサール条約に登録された三方五湖の中で一番大きい水月湖。海水と淡水が混ざる汽水湖で、湖底には7万年以上もの歳月の堆積物が年輪のように積み重なった「年縞」があり、奇跡の湖とも言われる。この年縞は、地質学的年代決定での世界標準になっている。水月湖の湖畔に沿って続く県道216号線には桜並木があり、桜の花と湖水とのコントラストが美しい。対岸の山肌は、自然に広がったヤマザクラだろうか、ピンクの水玉模様になっているのも印象的。菜の花と桜のコラボはよくあるが、ハマダイコンと桜というちょっと珍しいコラボも。
見頃:4月上旬

三方五湖レインボーライン(三方上中郡若狭町)

無料化された三方五湖レインボーラインからは、点在する桜の木が水玉模様のようになった山々や岬、湖水の色がそれぞれ違う三方五湖、そして若狭湾の海を俯瞰して見ることができる。
見頃:4月上旬

【奥越】

勝山弁天桜(勝山市)

一目千本とも呼ばれる奥越の桜名所。九頭竜川の右岸には約1.5km、450本のソメイヨシノが続く。川に掛けられたたくさんの鯉のぼりや、残雪の山々との共演はとても絵になる。この桜は「桜の名所にしよう」と、昭和初期に地域の世話役をしていた人が、私財を投じて桜の苗木を購入したり、自分の畑で苗木を育てたりして、現在のベースを作り、今は地元住民たちによって大切に守られている。福井市の足羽川桜並木より数日遅れて見頃を迎える。
見頃:4月上旬〜中旬

花月楼のしだれ桜(勝山市) 

国の登録有形文化財「旧料亭花月楼」をリノベーションした「旬菜食祭 花月楼」の玄関先には樹齢100年以上の見事なしだれ桜がある。
見頃:4月上旬〜中旬

勝山駅(勝山市) 

駅舎が国の登録有形文化財に登録されるえちぜん鉄道勝山駅。駅の手前、線路脇に1本の桜の木があり、車窓を彩る。
見頃:4月上旬〜中旬

亀山公園(大野市) 

天空の城としても有名な大野城がある。山頂付近からは眺めがいい。
見頃:4月中旬

九頭龍湖(大野市)

大野市の山間部にある九頭竜湖。紅葉の名所として有名だが、その湖畔にはたくさんのソメイヨシノやヤマザクラ、ヤエザクラなどが植栽され、湖を背景に咲く花は楚々として美しく、桜の名所としても知られる。見ごろが遅いのも特徴で、平地ではとっくに花が散ってしまったGW頃に開花の便りが届く。「花見気分をもう少し味わいたい!」と思っている人には、この上ない。
見頃:4月下旬

※掲載は順不同
※写真の無許可転載はご遠慮ください(有償で貸し出しします)

◉Coming soonの桜(近々撮影に行く候補)

・妙祐寺のしだれ桜(小浜市)
・小浜公園(小浜市)
・明通寺(小浜市)
・神宮寺(小浜市)
・名田庄の桜並木(おおい町)
・丸山公園の桜(おおい町)
・佐分利街道の桜(おおい町)
・城山公園・明鏡洞(高浜町)
・越前岬水仙ランド(越前町)
・レインボーパーク南条(南越前町)
・芦山公園(越前市)
・鮎街道の桜(永平寺町)
・興行寺のしだれ桜(永平寺町)
・一乗谷朝倉氏遺跡(福井市)
・福井総合グリーンセンター(坂井市)
・矢ばなの里(大野市)
・カドハラスキー場跡地(大野市)

筆者が書いた「北陸の桜」の記事は他にもあります。

祝! 北陸新幹線敦賀延伸 金沢でお花見〜人気スポットから穴場までおすすめ26選〜

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【富山・石川・福井】北陸の桜名所図鑑 2021年に一気にめぐってきた編

写真と文若井 憲 Ken Wakai
フリーで編集・ライター・カメラマンを兼務。得意ジャンルは旅行と文化。金沢市在住で北陸地方なら、得意ジャンル以外も実績は多岐にわたる。撮影ができるのも強み
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【フォトライターの仕事】旅の手帖2024年3月号で福井市の足羽川桜並木を紹介しました

『JR時刻表』の交通新聞社が発行する月刊『旅の手帖』。
その2024年3月号では「桜前線を追いかけて」を特集しています。
北陸では福井県福井市の足羽川桜並木を中心に、福井市内の桜を取り上げ、取材・撮影は私が担当しました。

延々と続く桜のトンネルが見事な足羽川桜並木

福井市は昭和20年代に空襲と震災、さらに水害という三重苦に見舞われました。そこから立ちあがろうと、足羽川の堤防にはたくさんの桜の苗木が植えられました。それが現在の桜並木のルーツです。
福井といえば「フェニックス」、つまり不死鳥がシンボルになっていますが、それは三度立ち上がった福井市民を象徴しているといえます。そして足羽桜並木の桜の成長とともに、福井の街は発展してきました。

そんな歴史があるから、この桜並木は福井市民にとっては特別な存在なのです。

桜とぼんぼり、そして水仙が競演

足羽川桜並木を次の世代に引き継ぐために世話を続ける「ふくい桜守の会」と、花の時期に合わせて、桜並木に中学生らが詠んだ独楽吟をあしらったぼんぼりを吊る活動をしている「足羽川ぼんぼり物語実行委員会」をメインに、足羽山の足羽神社のシダレザクラも取材しました。

ドーム状になり、美しい足羽神社のシダレザクラ

足羽山名物の木の芽でんがくとこんにゃくおでん、おいしかったです。
足羽山に花見に行ったら食べる定番だそうです。
(桜のシーズン以外にも食べられます)

足羽山の茶屋の名物「木の芽でんがく」(写真は中村屋)
これもまた名物の「こんにゃくおでん」。福井でしか食べられていない地がらしの辛味がクセになる(中村屋)
福井城もライトアップされる。こちらは訪れる人も少なく、穴場

昨シーズンに撮り下ろしていた未発表写真も惜しげもなくふんだんに使い、4ページというボリュームで福井の桜を掘り下げています。

福井市内のさくら通りも両側に桜並木が続く

現在、全国の書店で発売中です!

ぜひ、ご覧ください。

旅の手帖3月号
https://san-tatsu.jp/tabite/293649/

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2023年ありがとうございました!

今年も残すところあと1日。

編集工房わかいは仕事納めが12月31日で、年始の仕事始めは1月1日の予定です。

今回は、年明け早々に納める仕事が重なって、こんな感じとなりしたが、フリーランスは働いてナンボなので、ありがたいことです。

2023年はフォトライターとしてライター兼カメラマンの仕事が堅実な上に、ライターとしての依頼や、カメラマンとしての依頼も増えてきました。

正直、フォトライターの仕事は将来的には肉体的にキツくなってくるでしょうから、ライターだけ、カメラマンだけという依頼もぼちぼち増やしていけたらいいなと考えていましたので、これはありがたい傾向でもありました。

2022年から取り組んでいた兼六園のSDGsプログラムも公開され、兼六園がSDGsを学べる場所として少しずつ認知されてきたことは、携わった者としては嬉しい限り。

今年は奮発して撮影機材のバージョンアップを実施し、遠距離の取材も楽に行けるよう、車も買い替えました。そして、憧れだった猫のいる暮らしも実現!

来年は、フォトライターの仕事はもちろん、今までの経験を少しでも世の中に還元できるようなこと(ライターや観光など)もさらに携わって行けたらいいなと思っています。

ニャンコに癒されながら仕事をしております

今年もお世話になりました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。では、良いお年をお迎えください。

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【column】AIに負けないのはアナログ(紙媒体)で培った編集や取材力

ライターの仕事って、近い将来、AIが取って代わり、無くなるんじゃないの?

そんな心配をしているというライターさんの話をときどき聞きます。

でも、AIが進化しても、次の3つは当分、人間じゃないとできないと、個人的には思っています。

・AIにほしい記事を書かせる【編集力】

何を書くかが決まれば、AIにも記事が用意できるが、その「何」を考えるのはAIにはまだ難しい

・WEBにない情報を集める【取材力】

取材に行って、ネットには出ていない情報を拾える人は有利

・記事の誤りを見抜く【校閲力】

AIは、シナッと誤った情報を返してくるのでそれを見抜く力が絶対に必要。著作権など法的に問題となる場合も考えられるので、その辺のチェック態勢が重要になる

ところで、ライターや編集者の仕事って、紙かデジタルか、媒体によって仕事の進め方に大きな違いがあることをご存知でしょうか?

その違いは、簡単に言えば、「公開後の修正ができるかどうか」ということによります。

雑誌や新聞、書籍、紙のパンフレットなどは、印刷してしまうと原則として修正ができません。部数によっては、誤ったところにシールを貼ることもありますが、大変な手間がかかります。刷り直すとなると、部数によっては追加で何百万、何千万円もかかってしまうことさえあります。

そのために、編集者やライターは間違いを起こさないようにするために、情報のウラどりを何重にもしたり、校正者をはじめ、たくさんの人たちによって確認したりします。間違いだけでなく、たとえば著作権や肖像権、あるいは訴訟を起こされるリスクなどを考えて、ライターも編集者も記事の内容を精査しています(なかには「訴訟上等!」という雑誌もありますが・・・)。それでも100%誤りをなくすことは不可能で、情報を発信することの重たさや怖さを常に感じています。

一方のデジタルは、誤った情報や問題ある情報を発信してしまったら、すぐに「消してしまえば問題ない」という考え方があります。もちろん、実際には問題ないわけではありませんが、紙媒体の産みの苦しみを知っている人間には、発表後に「修正できる」ことに望外の喜びを感じます。

実はこれを逃げにしてしまう気の持ち方自体に問題があります。間違いを起こすことへの危機意識が低下することによって、自分達の仕事の質が低下してしまうということを、紙媒体の経験者ならお分かりになるでしょう。しかし、デジタル媒体しかしたことがない人は、この感覚がわからないかもしれません。

しかし、最近では「炎上」騒ぎにあるように、一瞬でも間違った情報を上げたことで、大きな損害を被ることも多くなりました。

世の中、「1文字●円」というWEBライターの仕事がたくさんあります。これは質より量を問う仕事であり、ネットで拾える情報を切り貼りしてアップし続けるという流れの仕事。まさしく今、AIの登場で真っ先にいらなくなってしまう仕事と言えそうです。

私の場合、デジタル媒体の仕事でも紙媒体で培ってきた情報発信の重たさや怖さを考えながら仕事を進めています。その結果として、WEBでもそのような配慮を要する仕事の依頼が増えています。もちろん、「1文字●円」では考えられないギャラとなります。

紙媒体の仕事は残念ながら、減少しつつあり、なかなか新規で入り込むのは難しいかもしれませんが、チャンスがあれば、WEBライターとして一線で活躍されている若い方も、ぜひ挑戦してみることをおすすめします。それはきっと、ご自身の仕事のステップアップの近道にもなるはずです。

※写真は本文とは関係ありません(観光客で賑わう「ひがし茶屋街」。顔が分からないように加工して納品するひと手間は編集者に喜ばれます)
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【ライターの仕事】ミツカン水の文化センター機関誌『水の文化』第75号で執筆しました

『水の文化』は、水をテーマにした社会貢献活動を行っているミツカンの機関誌で、毎号さまざまな切り口から水の大切さを伝えてくれます。

その75号では琵琶湖を特集しており、その中で琵琶湖の清掃活動を行っている武田みゆきさんのインタビューをしました。武田さんは環境NPOリーダーではよく知られた方。

自分のことを育ててくれた琵琶湖がゴミで汚されていくのがやるせなくて、一人でゴミ拾いを始めたのが、今では世界的な企業からも「一緒にゴミを拾わせて!」と声がかかるようになったとか。

武田さんに誘われて、なんと編集者もカメラマも私も裸足になって、琵琶湖に足を浸しながらインタビューしました。母なる湖の魅力を肌で感じつつ・・・。現地取材はやっぱ楽しいな。

武田さんの話しはとにかく面白く、また勉強になることもたくさんありました。

特集記事はWEBで公開されておりますので、ぜひお読みください。https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no75/

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金沢を代表する観光名所の兼六園をマニアックに攻めてみよう【第5回 唐崎松編】

兼六園を代表する松といえば、根上松とこの唐崎松でしょうね。

唐崎松は、樹齢約180年のクロマツで、13代藩主の斉泰が、琵琶湖を模して霞ヶ池を現在の大きさに拡張した際に、琵琶湖畔にある唐崎神社から種を取り寄せたもの。琵琶湖にこだわった藩主の想いがうかがいしれます。

水面に枝を伸ばした姿は鶴が羽ばたくように見えます

雪吊りが施された姿は、北陸の冬を象徴する景観と言っても過言ではないでしょう。

雪吊りされた松は離れたところから見ると一つに見えますが、実は唐崎松(左)と玩月松(がんげつのまつ)の2本の松からなっています。
風がない日は霞ヶ池に雪吊りが映って美しい

北陸地方特有の湿気を含んだ重たい雪から枝を守るために雪吊りが行われますが、その方法にはいくつかあり、この松は「りんご吊り」と呼ばれる方法で、最大高さ約14メートルの5本の芯柱を立て、約800本の藁縄で枝を吊ります。放射状に張られた藁縄がとても美しく、それを図案化したものが金沢のご当地ナンバープレートにもなっています。雪吊りする際、庭師はこの芯柱によじのぼり、先端から縄を投げるという、凄技を間近で眺めることもできます。

毎年11月1日から始まる雪吊り作業

ちなみに、なぜ「りんご吊り」かと言えば、りんごの木が実の重さで枝が折れないようにしたことが由来ですが、江戸時代の加賀藩はりんごの産地として有名で、長町武家屋敷や香林坊のあたりにはりんご畑が広がっていたとか。そこで行われていた「りんご吊り」が、庭木の雪吊りの呼び名にもなったのではないかという説があります。

過去に一度だけ行われた漆黒のライトアップ。ご覧の通り、真っ暗な唐崎松が見られた。でもあまり評判が良くなかったのか、以来このバージョンのライトアップは行われていない
冬の段では暖色系のライトアップが行われ、黄金色に輝く

晩秋や冬に、期間限定で夜間ライトアップが行われますが、暗闇に浮かび上がる雪吊りされた唐崎松の姿は、その美しさが際立ちます。毎年、11月1日からこの唐崎松を皮切りに雪吊りが始まり、1ヵ月半をかけて園内の約800カ所に施されます。一方、取り外しは3月15日頃から始まり、こちらはわずか1週間で完了します。雪吊りに使用された藁縄は、外された後は細かく裁断されて、堆肥として再利用されているそうで、循環型の取り組みがされています。

秋の段のライトアップは紅葉とのコラボが楽しめる
写真と文若井 憲 Ken Wakai
フリーランスで編集・ライター・カメラマンを兼務。得意ジャンルは旅行と文化。金沢市在住で北陸地方なら、得意ジャンル以外も実績は多岐にわたる。撮影ができるのも強み
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【フォトライターの仕事】『旅の手帖』11月号の第2特集「刀剣の世界」で、五箇伝の一つ、岐阜県関市の日本刀を取材・執筆しました

正直言って、日本刀にはあまり関心がなかった私。いやむしろ、「日本刀って武器でしょ」と思って、刀の尖った先端を見るとゾクゾクしてきて(よくない方の意味です)、どちらかと言えば、避けていました。

それでも取材を進めていくうち、日本刀って武器であることには変わりありませんが、日本人にとっては、心の拠りどころとでも申しましょうか、言葉で表すのは難しいのですが、心の奥底と共鳴し合う何かがあるということを知り、しかも、そのアンテナが自分にも備わっていることに気がつきました。

関観光の拠点となる「せきてらす」の前には日本刀をモチーフにしたオブジェが

そうなるともう、一気に日本刀へ興味が溢れ出してきて、一振り欲しくなるのはもちろん(高くて買えない、汗)、全国各地にある名刀を展示している美術館や博物館をめぐってみたくなりました。新たな旅の目的を見事開花した次第です。

世界に名だたる刃物のまちらしいカミソリのオブジェ

一見マニアックなネタを、しっかり旅行の楽しみへと昇華させている『旅の手帖』はやっぱすごい。この特集、ファインプレーだと思います。

カラフルなラッピングが目を引く長良川鉄道

旅の新たなネタをお探し中の方、この特集は必見です!ちなみに、美濃では南北朝の頃から日本刀を大量生産すべくシステマチックな生産体制を構築していました。そのスピリッツは刃物のまち・関にしっかり受け継がれ、今では世界三大刃物のまちになりました。

9月3日といえば・・・

9月3日はドラえもんの誕生日だそうです。
でも、生まれた年は2112年なので、まだ先の話。

作者の藤子・F・不二雄氏は富山県高岡市出身。

その縁で、高岡駅を発着する万葉線には、「ドラえもんトラム」が走り、高岡駅前にはドラえもんに登場するキャラクターが出迎えてくれる「ドラえもんの散歩道」や、投函すると記念消印が押される「ドラえもんポスト」もあります。

また、市内の「高岡市藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」では、先生の漫画の原点にふれることができます。

ちなみに、ドラえもんの好物といえば、どら焼きですね。高岡では古くから何かにつけてどら焼きを食べる文化があり、どら焼きが自慢の和菓子屋さんもたくさん。作者が高岡出身だったから、好物はどら焼きになったのかもしれません。

北陸の出汁事情

和食の基本中の基本と言えば、「出汁(ダシ)」。

出汁の良し悪しが、料理の出来を左右することはもちろんで、またその出汁を何でとるかによって料理の味も変わります。

北陸で出汁と言えば、「昆布」を想像されるでしょう。北前船によって北海道の昆布が各寄港地にもたらされて広まり、これは「昆布ロード」とも称され、遠くは薩摩から琉球、さらには中国へも運ばれていきました。

さて、一口に昆布と言っても、「利尻」「日高」「羅臼」・・・と、いろいろな種類があり、富山県を中心に、北陸では料理によってこの昆布を使い分けるという文化も定着しています。

ところが、北陸でポピュラーな出汁は昆布だけではないのです。

氷見の煮干し、能登を中ヒントしたアゴ(トビウオ)、能登の魚醤・いしる(いしり)、福井の鮎(焼きがらし)をはじめ、豊富に採れる海藻や魚介、キノコなども出汁として使われています。

また、富山の郷土料理で知られる「たら汁」(トップの写真)は、スケトウダラの肝や骨、白子や真子などから出る出汁のみで、それが最高の味わいをつくっています。

ちなみに、江戸時代、加賀藩前田家では最上級の出汁として「白鳥」や「鶴」も用いていたそうですが、これはもちろん現代ではご法度!

北陸の出汁というと、昆布のイメージが強いですが、かつお節もそば汁には欠かすことができず、福井にはおろしそば専用のかつお節を販売している専門店も。

これだけ多彩な出汁があることは、北陸の食文化が豊かであることの証と言えるでしょう。

これらの出汁を使い、これまた北陸の各地にある個性豊かな味噌と具材、名水と呼ばれる湧き水を使って、それぞれの創作味噌汁を作って、その土地に関係する伝統工芸の器に盛り付けて食べくらべる――そんな贅沢をしてみたいなと思っています。

写真のラーメンは、ミシュランガイドにビブグルマンで掲載され、行列の絶えない氷見市の貪瞋癡(とんじんち)の「氷見産煮干しラーメン」。まずは最初に体に染み渡る氷見の煮干しのうまさを味わえるスープを一口。ちなみに氷見では煮干し出汁の「氷見カレー」も人気。

写真と文若井 憲 Ken Wakai
フリーランスで編集・ライター・カメラマンを兼務。得意ジャンルは旅行と文化。金沢市在住で北陸地方なら、得意ジャンル以外も実績は多岐にわたる。季節感ある写真のストックも豊富にある。
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